恋 – ページ 5 – 百人一首note

14. みちのくの しのぶもぢずり 誰ゆえに 乱れそめにし 我ならなくに / 河原左大臣

(モジズリ)

14. みちのくの しのぶもぢずり 誰ゆえに 乱れそめにし 我ならなくに / 河原左大臣

(読み)
みちのくの しのぶもじずり たれゆえに みだれそめにし われならなくに / かわらのさだいじん

(訳)
陸奥(東北の東半分)しのぶ地方の、しのぶもじずりの乱れ模様のように、誰のせいで思いが乱れ始めてしまったのでしょう。他ならぬあなたのせいですよ。

(解説)
・信夫(しのぶ)地方・・今の福島県

・しのぶもじずり・・染め物

「モジズリ」は「ネジバナ」の別名。東北地方の信夫郡(しのぶぐん)で作られていた織物、「信夫捩摺り(しのぶもじずり)」のよじれた模様と、花のつき方が似ているところから「モジズリ」と名付けられた。

(出典)
01『古今和歌集』


(作者)
河原左大臣(かわらのさだいじん)。源融(みなもとのとおる)(822~895)

・52代・嵯峨天皇の第12皇子。臣籍降下して源姓になる。

・「河原院」という大邸宅に、塩釜の地を模して海水を汲む。

・光源氏のモデルの1人とも言われる。

・宇治に別荘を作ったが、これが後の「平等院」となる。


(品詞)
みちのく
固有名詞


助詞・格助詞

しのぶもぢずり
名詞


代名詞

ゆえ
名詞


助詞・格助詞

乱れそめ
動詞「乱れそむ」マ下二(連用)
(め//む/むる/むれ/めよ)


助動詞「ぬ」完了(連用)
連用形接続・ナ変型
(な//ぬ/ぬる/ぬれ/ね)


助動詞「き」直接過去(連体)
連用形接続・特殊型
(せ/〇/き//しか/〇)


代名詞

なら
助動詞「なり」断定(未然)
連体形接続・形容動詞型
なら/なり or に/なり/なる/なれ/なれ)

なく
打消(未然)
(ク語法)


助詞・接続助詞

(活用語)
みちのくの しのぶもぢずり 誰ゆえに 乱れそめ に し 我ならなくに

[動詞]
・乱れそむ

[助動詞]
・「に」・・「ぬ」完了
・「し」・・「き」直接過去

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13. 筑波嶺の 峰より落つる みなの川 恋ぞつもりて 淵となりぬる / 陽成院

(筑波山)

13. 筑波嶺の 峰より落つる みなの川 恋ぞつもりて 淵となりぬる / 陽成院

(読み)
つくばねの みねよりおつる みなのがわ こいぞつもりて ふちとなりぬる / ようぜいいん

(訳)
筑波峯のてっぺんから段々と流れ落ちるみなの川のように、私の恋心も積もって深い淵のようになったよ。

(語句)
・みなの川・・筑波山から流れる川。「男女川」とも書く。

・淵・・流れが緩やかになって深くなったところ。

(解説)
・筑波山(つくばさん)は常陸国(ひたちのくに)茨城県の山。男体山(なんたいさん)と女体山(にょたいさん)という二つの峯からなる恋の歌の名所。「西の富士、東の筑波」と言われた。

・綏子内親王(すいしないしんのう)に当てて書いた歌。陽成院の后になった。

(出典)
02『後撰和歌集』


(作者)
陽成院(ようぜいいん)。57代陽成天皇(868~949)

・56代・清和天皇(せいわてんのう)と藤原高子(二条后・にじょうのきさき)の皇子。

・9才で即位したが、叔父の関白・藤原基経(藤原家最初の関白)に17才で退位させられ、58代光孝天皇(15「きみがため は」)に皇位を譲った。

20「わびぬれば」元良親王(もとよししんのう)の父。

(参考)
うた恋」1巻


(品詞)
筑波嶺
固有名詞


助詞・格助詞


名詞

より
助詞・格助詞

落つる
動詞「落つ」タ上二(連体)
(ち/ち/つ/つる/つれ/ちよ)

みなの川
固有名詞


名詞


助詞・係助詞

つもり
動詞「つもる」ラ四(連用)
(ら//る/る/れ/れ)


助詞・接続助詞


名詞


助詞・格助詞

なり
動詞「なる」ラ四(連用)
(ら//る/る/れ/れ)

ぬる
助動詞「ぬ」完了(連体)
連用形接続・ナ変型
(な/に/ぬ/ぬる/ぬれ/ね)

 

(活用語)
筑波嶺の 峰より落つる みなの川 恋ぞつもりて 淵となり ぬる

[動詞]
・落つ
・つもる
・なる

[助動詞]
・ぬる・・「ぬ」完了

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3. あしびきの 山鳥の尾の しだり尾の ながながし夜を ひとりかも寝む / 柿本人麿

3. あしびきの 山鳥の尾の しだり尾の ながながし夜を ひとりかも寝む / 柿本人麿

(読み)
あしびきの やまどりのおの しだりおの ながながしよを ひとりかもねん(かきのもとのひとまろ)

(訳)
山鳥の長く垂れ下がった尾のように、この長い夜を私は独り寂しく寝るのでしょうか。

(語句)
・「の」を繰り返すことで長い夜を表現している。

・ひとりかも寝む・・ひとりで寝るのだろうか
「寝(ね)(未然)」+「む(推量)」

「寝(ぬ)」はナ行下二段(ね・ね・ぬ・ぬる・ぬれ・ねよ)

(枕詞)
「あしびきの」→「山」

(解説)
・元々は万葉集の詠み人知らずの歌とされる。

(出典)
03『拾遺和歌集』


(作者)
柿本人麿(7C後~8C初)
(万葉集では「人麻呂」、平安時代は「人麿」「人丸」などと表記。)

・万葉集の歌人。持統天皇、文武天皇(軽皇子)に仕えた宮廷歌人。

・天皇をたたえる歌や、相聞歌(そうもんか/恋の歌)、挽歌(ばんか/死を悼む歌)など、すぐれた歌を多数残す。

・「歌聖(かせい/うたのひじり)」と仰がれる。

三十六歌仙の一人。

・亡き妻を思い詠んだ歌
笹の葉は み山もさやに さやげども 我は妹(いも)思ふ 別れ来ぬれば(万葉集)

(訳)笹の葉は、この山にさやさやと(心乱せというように)風に吹かれて音を立てているけれど、私は妻のことを一筋に思っています。別れてきてしまったので。

・岩見国(島根)で亡くなったとされる。


(品詞)
あしびき
名詞
(枕詞)「あしびきの」→「山」


助詞・格助詞

山鳥
名詞


助詞・格助詞


名詞


助詞・格助詞

しだり尾
名詞


助詞・格助詞

ながながし
形容詞「ながながし」シク活用(終止)
– 本活用(〇/しく//しき/しけれ/〇)
– 補助活用(助動詞)
(しから/しかり/〇/しかる/〇/しかれ)
(※終止形を連体形のように用いて「夜」につなげた)


名詞


助詞・格助詞

ひとり
名詞


助詞・係助詞


助詞・係助詞

(ね)
動詞「寝(ぬ)」ナ下二(未然)
/ね/ぬ/ぬる/ぬれ/ねよ)


助動詞「む」推量(連体)
未然形接続・四段型
(〇/〇/む//め/〇)

(活用語)
あしびきの 山鳥の尾の しだり尾の ながながし夜を ひとりかも

[動詞]
・寝(ぬ)

[形容詞]
・ながながし

[助動詞]
・む・・「む」推量

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