部立 – 百人一首note

100. 百敷や 古き軒端の しのぶにも なほあまりある 昔なりけり / 順徳院

順徳上皇 行主所跡(新潟県・佐渡)

100. 百敷や 古き軒端の しのぶにも なほあまりある 昔なりけり / 順徳院

(読み)
ももしきや ふるきのきばの しのぶにも なおあまりある むかしなりけり(じゅんとくいん)

(訳)
宮中の古い軒端の下に生えている忍草を見ると、やはりしのぶにもしのびつくせないのは、栄えていた昔のことであるよ。

(解説)
・栄えていた時代を懐かしむ心。

・ももしき・・宮中。「ももしき」は「大宮」にかかる枕詞だった。
(ももしきの大宮人はいとまあれや 桜かざして今日も暮らしつー山部赤人)

・軒端(のきば)・・屋根の下の方のはじ

(掛詞)
しのぶ・・「しのび草」と「昔をしのぶ」

(出典)
10『続後撰和歌集』


(作者)
順徳院(じゅんとくいん)(1197~1242)

84代天皇。後鳥羽院(99「人もをし」)の第三皇子。

・詩歌・音楽に没頭。歌論書『八雲御抄(やくもみしょう)』を記した。和歌を藤原定家に習う。

・1216年、20歳のときにこの歌を詠んだ。5年後の1221年「承久の乱」で後鳥羽院と共に流刑。

父の後鳥羽院は隠岐島(島根県)へ、息子の順徳院は佐渡(新潟県)に流された。


(品詞)
百敷
名詞


助詞・間投助詞

古き
形容詞「古し」ク活用(連体)
– 本活用(〇/く/し//けれ/〇)
– 補助(助)
(から/かり/〇/かる/〇/かれ)

軒端
名詞


助詞・格助詞

しのぶ
(掛詞)
・忍ぶ(草)(名詞)
・しのぶ(動詞)


助詞・格助詞


助詞・係助詞

なほ
副詞

あまり
名詞

ある
動詞「あり」ラ変(連体)
(ら/り/り//れ/れ)


名詞

なり
助動詞「なり」断定(連用)
連体形接続・形容動詞型
(なら/なり or に/なり/なる/なれ/なれ)

けり
助動詞「けり」詠嘆(終止)
連用形接続・ラ変型
(けら/〇/けり/ける/けれ/〇)

 

(活用語)
百敷や 古き軒端の しのぶにも なほあまりる 昔なり けり

[動詞]
・しのぶ
・あり

[形容詞]
・古し

[助動詞]
・なり・・「なり」断定
・けり・・「けり」詠嘆

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99. 人もをし 人も恨めし あぢきなく 世を思ふゆゑに 物思ふ身は / 後鳥羽院

隠岐の島より(島根県)

99. 人もをし 人も恨めし あぢきなく 世を思ふゆゑに 物思ふ身は / 後鳥羽院

(読み)
ひともおし ひともうらめし あじきなく よをおもうゆえに ものおもうみは(ごとばいん)

(訳)
人を愛おしく思ったり、人を恨めしく思ったり。どうしようもないと世を思うせいで、あれこれ思い悩む身となっては。

(解説)
・為政者の思い悩みながら生きる嘆き

・をし(愛し)・・愛しい

・あぢきなく・・「あぢきなし」。思うようにならずどうしようもなく。苦々しい。

(句切れ)
二句切れ

(出典)
10『続後撰和歌集』


(作者)
後鳥羽院(ごとばいん)(1180-1239)

・82代天皇。81代安徳天皇が平氏と共に都落ちしたのち、異母弟である後鳥羽天皇が4歳で即位。

・藤原家定に『新古今和歌集』を撰ばせた。

・この歌を詠んだのは1212年。それから9年後の1221年に倒幕をもくろみ「承久の乱」を起こしたが、敗れ、隠岐(島根県)に流される。在島19年で60才で崩御。

貴族の時代(平安)が終わり、武士の時代(鎌倉)が始まろうとしていた。

・息子は順徳院(100)


(品詞)

名詞


助詞・係助詞

をし
形容詞「をし」シク活用(終止)
– 本活用(〇/しく//しき/しけれ/〇)
– 補助活用(助動詞)
(しから/しかり/〇/しかる/〇/しかれ)


名詞


助詞・係助詞

恨めし
形容詞「恨めし」シク活用(終止)
– 本活用(〇/しく//しき/しけれ/〇)
– 補助活用(助動詞)
(しから/しかり/〇/しかる/〇/しかれ)

あぢきなく
形容詞「あぢきなし」ク活用(連用)
– 本活用(〇//し/き/けれ/〇)
– 補助活用(助動詞)
(しから/しかり/〇/しかる/〇/しかれ)


名詞


助詞・格助詞

思ふ
動詞「思ふ」ハ四(連体)
(は/ひ/ふ//へ/へ)

ゆゑ
名詞


助詞・格助詞

物思ふ
動詞「物思ふ」ハ四(連体)
(は/ひ/ふ//へ/へ)


名詞


助詞・係助詞

 

(活用語)
人もをし 人も恨めし あぢきなく 世を思ふゆえに 物思ふ身は

[動詞]
・思ふ
・物思ふ

[形容詞]
・をし
・恨めし
・あぢきなし

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98. 風そよぐ ならの小川の 夕暮れは みそぎぞ夏の しるしなりける / 従二位家隆

98. 風そよぐ ならの小川の 夕暮れは みそぎぞ夏の しるしなりける / 従二位家隆

(読み)
かぜそよぐ ならのおがわの ゆうぐれは みそぎぞなつの しるしなりける(じゅにいいえたか)

(訳)
風がそよそよと音を立てて楢の葉に吹きそよぐ、ならの小川の夕暮れは、「夏越し(なごし)のみそぎ」の行事だけが、夏であることのしるしなのだなあ。

(解説)
・「ならの小川」は「奈良」ではなく、「楢(なら)の小川」。京都の「上賀茂(かみがも)神社」の境内を流れる「御手洗川(みたらしがわ)」のこと。

・みそぎ・・年中行事の一つ「水無月祓(みなづきばらえ)」のこと。川で身を清め、上半期の罪や穢れをはらう。

旧暦の6月30日(現在の8月7日ごろ)に行なわれた。次の日から秋(立秋)になるので「夏越の祓(なごしのはらえ)」とも言う。

(掛詞)
「なら」と「楢」

(出典)
09『新勅撰和歌集』


(作者)従二位家隆(じゅにいいえたか)。藤原家隆。(1158~1237)

・藤原定家のライバル。定家は「火」、家隆は「水」をうたった。

・『新古今集』の撰者のひとり。妻は寂蓮法師(87「むらさめの」)の娘。寂蓮法師は義父にあたる。

・家隆は後鳥羽院(99)が隠岐(島根県)に流されたあとも、文通を続けた。


(品詞)

名詞

そよぐ
動詞「そよぐ」ガ四(連体)
(が/ぎ/ぐ//げ/げ)

ならの小川
固有名詞
(掛詞)
・ならの小川(固有名詞)
・楢(なら)(名詞)


助詞・格助詞

夕暮れ
名詞


助詞・係助詞

みそぎ
名詞


助詞・係助詞


名詞


助詞・格助詞

しるし
名詞

なり
助動詞「なり」断定(連用)
連体形接続・形容動詞型
(なら/なり or に/なり/なる/なれ/なれ)

ける
助動詞「けり」詠嘆(連体)
(けら/〇/けり/ける/けれ/〇)
連用形接続・ラ変型

 

(活用語)
そよぐ ならの小川の 夕暮れは みそぎぞ夏の しるしなり ける

[動詞]
・そよぐ

[助動詞]
・なり・・「なり」断定
・ける・・「けり」詠嘆

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97. 来ぬ人を まつほの浦の 夕なぎに 焼くや藻塩の 身もこがれつつ / 権中納言定家

97. 来ぬ人を まつほの浦の 夕なぎに 焼くや藻塩の 身もこがれつつ / 権中納言定家

(読み)
こぬひとを まつほのうらの ゆうなぎに やくやもしおの みもこがれつつ(ごんちゅうなごんていか)

(訳)
来ない人を待つ私は、松帆の浦(淡路島の北端)の夕なぎに焼く藻塩のように、身も焦がれるほどに恋しているのですよ。

(解説)
・いつまでも待っている女性の心。わが身が恋こがれる意に、藻塩が焼けこげる意を掛けている。

・万葉集からの本歌取の歌。

(掛詞)
「まつ」・・「松帆の浦」と「待つ」

(縁語)
「焼く」「藻塩」「こがれ」が縁語。

(序詞)
「まつほの浦の夕なぎに 焼くや藻塩の」までが「こがれ」を導き出す序詞(じょことば)。

(出典)
09『新勅撰和歌集』


(作者)
権中納言定家(ごんちゅうなごんていか)。藤原定家(ふじわらのていか・さだいえ)。(1162~1241・享年79)。

・百人一首の撰者。『新古今和歌集』『新勅撰和歌集』の撰者。俊成の「幽玄」を深化させ「有心体(うしんたい・妖艶な余情美)」を理想とした。

・漢文の日記『明月記』、歌論書『近代秀歌』など。

・式子内親王(89「玉のをよ」)に憧れを抱く。

・父は皇太后宮大夫俊成(藤原俊成)(83「世の中よ」)。


(品詞)
(こ)
動詞「く」カ変(未然)
/き/く/くる/くれ/こ(こよ))


助動詞「ず」打消(連体)
(〇/ず/ず//ね/〇)
(ざら/ざり/〇/ざる/ざれ/ざれ)


名詞


助詞・格助詞

まつほの浦
固有名詞

(掛詞)
・待つ(動詞)
・松帆の浦(固有名詞)


助詞・格助詞

夕なぎ
名詞


助詞・格助詞

焼く
動詞「焼く」カ四(連体)
(か/き/く//け/け)


助詞・間投助詞

藻塩
名詞


助詞・格助詞


名詞


助詞・係助詞

こがれ
動詞「こがる」ラ下二(連用)
(れ//る/るる/るれ/れよ)

つつ
助詞・接続助詞

 

(活用語)
来 ぬ人を まつほの浦の 夕なぎに 焼くや藻塩の 身もこがれつつ

[動詞]
・来(く)
・待つ
・焼く
・こがる

[助動詞]
・ぬ・・「ず」打消

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96. 花さそふ 嵐の庭の 雪ならで ふりゆくものは わが身なりけり / 入道前太政大臣

96. 花さそふ 嵐の庭の 雪ならで ふりゆくものは わが身なりけり / 入道前太政大臣

(読み)
はなさそう あらしのにわの ゆきならで ふりゆくものは わがみなりけり(にゅうどうさきのだいじょうだいじん)

(訳)
桜が咲き散るように誘う山嵐が吹いている庭にいて、ふりゆくものといえば雪なのではなく、老いていく私の身なのだ。

(解説)
・落花に自らの老いを重ねて嘆く

・雪ならで・・雪ではなくて
「で」は打消の接続助詞。

(掛詞)
・ふりゆく
– 降りゆく
– 古りゆく

(出典)
09『新勅撰和歌集』


(作者)
入道前太政大臣(にゅうどうさきのだいじょうだいじん)。藤原公経(ふじわらのきんつね)・西園寺公経(さいおんじきんつね)。(1171~1244)

・藤原氏北家の支族、西園寺家の祖。西園寺殿(後の金閣寺)を建立した。

・公経の姉は藤原定家(97)の妻。

・西園寺公経の妻は源頼朝の姪だったため、承久の乱(1221)では鎌倉幕府に味方した。

乱の後、関東申次(かんとうもうしつぎ)の役職に付き、以後、この役職は世襲となる。

・また公経は、孫の藤原頼経(よりつね)(幼名・三寅(みとら))を、鎌倉4代将軍(摂家将軍)にしたことで、朝廷でも重んじられた。

・孫娘を88代後嵯峨天皇の中宮にした。


(品詞)

名詞

さそふ
動詞「さそふ」ハ四(連体)
(は/ひ/ふ//へ/へ)


名詞


助詞・格助詞


名詞


助詞・格助詞


名詞

なら
助動詞「なり」断定(未然)
連体形接続・形容動詞型
なら/なり or に/なり/なる/なれ/なれ)


助詞・接続助詞
(打消接続)

ふりゆく
動詞「ふりゆく」カ四(連体)
(か/き/く//け/け)
(掛詞)
降りゆく
古りゆく

もの
名詞


助詞・係助詞
強意


代名詞


助詞・格助詞


名詞

なり
助動詞「なり」断定(連用)
連体形接続・形容動詞型
(なら/なり or に/なり/なる/なれ/なれ)

けり
助動詞「けり」詠嘆(終止)
連用形接続・ラ変型
(けら/〇/けり/ける/けれ/〇)

(活用語)
さそふ 嵐の庭の 雪ならふりゆくものは わが身なり けり

[動詞]
・さそふ
・ふりゆく

[助動詞]
・なら・・「なり」断定
・なり・・「なり」断定
・けり・・「けり」詠嘆

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95. おほけなく うき世の民に おほふかな わがたつ杣に すみぞめのそで / 前大僧正慈円

(比叡山・延暦寺 東塔)(滋賀県・大津市)

95. おほけなく うき世の民に おほふかな わがたつ杣に すみぞめの袖 / 前大僧正慈円

(読み)
おおけなく うきよのたみに おおうかな わがたつそまに すみぞめのそで(さきのだいそうじょうじえん)

(訳)
分不相応ではあるけれど、辛いこの世を生きる人々に覆いかけたいものだ。私が住みはじめた比叡山での仏の祈りを。

(解説)
・世の人のために仏の加護を願う心

・おほけなく・・分不相応ではあるが

・わが立つ杣・・伝教大師(でんぎょうだいし)(最澄)が詠んだ歌にある「わが立つ杣に」という表現になぞらえた。

(掛詞)
すみぞめ
・住み初め
・墨染

(句切れ)
三句切れ

(出典)
07『千載和歌集』


(作者)
前大僧正慈円(さきのだいそうじょうじえん)(1155~1225)

・歴史書『愚管抄』の作者。

・父は藤原忠通(76「わたのはら こ」)。兄は九条兼実(くじょうかねざね)。

・14歳で出家し、天台座主(てんだいざす・比叡山延暦寺の最高僧。天台宗一門の首長)に四度なる。


(品詞)
おほけなく
形容詞「おほけなし」ク活用(連用)
– 本活用(〇//し/き/けれ/〇)
– 補助活用(助動詞)
(から/かり/〇/かる/〇/かれ)

うき世
名詞


助詞・格助詞


名詞


助詞・格助詞

おほふ
動詞「おほふ」ハ四(連体)
(は/ひ/ふ//へ/へ)

かな
助詞・終助詞


代名詞


助詞・格助詞

たつ
動詞「たつ」タ四(連体)
(た/ち/つ/つ/て/て)


名詞


助詞・格助詞

すみぞめ
(掛詞)
– すみぞめ(名詞)
– 住み初め


助詞・格助詞

そで
名詞

 

(活用語)
おほけなく うき世の民に おほふかな わがたつ杣に すみぞめのそで

[動詞]
・おほふ
・たつ

[形容詞]
・おほけなし

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94. み吉野の 山の秋風 さ夜ふけて ふるさと寒く 衣打つなり / 参議雅経

94. み吉野の 山の秋風 さ夜ふけて ふるさと寒く 衣打つなり / 参議雅経

(読み)
みよしのの やまのあきかぜ さよふけて ふるさとさむく ころもうつなり(さんぎまさつね)

(訳)
吉野の山の秋風が吹くころ、夜も更けて、この古い里は寒さが身にしみて、寒々と衣を打つ音が聴こえてくる。

(解説)
・山に響く衣を打つ音の寂しさ

・坂上是則(31「朝ぼらけ あ」)の歌をもとに詠んだ、本歌取りの歌。
「み吉野の 山の白雪 つもるらし ふるさと寒く なりまさるなり」。

・衣を打つ、砧(きぬた・木槌)の響きは漢詩(李白)の世界から取り込まれた情趣。

(出典)
08『新古今和歌集』


(作者)
参議雅経(さんぎまさつね)。藤原(飛鳥井・あすかい)雅経。(1170~1221)

・『新古今和歌集』の撰者の一人。

・けまりの名門・飛鳥井家を興した。(本歌取りの元の歌、坂上是則(31)も蹴鞠の名手であった)。後鳥羽上皇より「蹴鞠長者」と評される。

・源頼朝や源実朝(93)とも親交があった。


(品詞)
み吉野
(接頭語)+固有名詞


助詞・格助詞


名詞


助詞・格助詞

秋風
名詞

さ夜
(接頭語)+名詞

ふけ
動詞「ふく」カ下二(連用)
(け//く/くる/くれ/けよ)


助詞・接続助詞

ふるさと
名詞

寒く
形容詞「寒し」ク活用(連用)
– 本活用(〇//し/き/けれ/〇)
– 補助活用(助動詞)
(から/かり/〇/かる/〇/かれ)


名詞

打つ
動詞「打つ」タ四(終止)
(た/ち//つ/て/て)

なり
助動詞「なり」推定(終止)
終止形接続(ラ変は連体)・ラ変型
(〇/なり/なり/なる/なれ/〇)

(活用語)
み吉野の 山の秋風 さ夜ふけて ふるさと寒く打つ なり

[動詞]
・ふく
・打つ

[形容詞]
・寒し

[助動詞]
・なり・・「なり」推定

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93. 世の中は 常にもがもな 渚こぐ あまの小舟の 綱手かなしも / 鎌倉右大臣

93. 世の中は 常にもがもな 渚こぐ あまの小舟の 綱手かなしも / 鎌倉右大臣

(読み)
よのなかは つねにもがもな なぎさこぐ あまのおぶねの つなでかなしも(かまくらのうだいじん)

(訳)
世の中がずっと変わらないでいてほしい。海辺近くで漁師が小さな船の引き綱を引いている姿は、しみじみといとおしく感じられるなあ。

・常にもがもな・・変わらないでいてほしい

・あま・・漁師

・かなし・・しみじみとする

(句切れ)
二句切れ

(出典)
09『新勅撰和歌集』


(作者)
鎌倉右大臣(かまくらのうだいじん)。源実朝(みなもとのさねとも)。(1192~1219)

・12才で鎌倉幕府3代将軍となる。父・源頼朝、母・北条政子、兄・源頼家。

・歌人。藤原定家が和歌を教える。歌集『金塊和歌集』を残す。

・28才で甥の公卿に暗殺される。


(品詞)
世の中
名詞


助詞・係助詞

常に
形容動詞「常なり」ナリ活用(連用)
(なら/なり or /なり/なる/なれ/なれ)

もがも
助詞・終助詞


助詞・終助詞


名詞

こぐ
動詞「漕ぐ」ガ四(連体)
(が/ぎ/ぐ//げ/げ)

あま
名詞


助詞・格助詞

小舟
名詞


助詞・格助詞

綱手
名詞

かなし
形容詞「かなし」シク活用(終止)
– 本活用(〇/しく//しき/しけれ/〇)
– 補助活用(助動詞)
(しから/しかり/〇/しかる/〇/しかれ)


助詞・終助詞

 

(活用語)
世の中は 常にもがもな 渚こぐ あまの小舟の 綱手かなし

[動詞]
・漕ぐ

[形容詞]
・かなし

[形容動詞]
・常なり

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92. わが袖は 潮干にみえぬ 沖の石の 人こそ知らね かわく間もなし / 二条院讃岐

92. わが袖は 潮干にみえぬ 沖の石の 人こそ知らね かわく間もなし / 二条院讃岐

わがそでは しおひにみえぬ おきのいしの ひとこそしらね かわくまもなし(にじょういんのさぬき)

(訳)
私の着物の袖は、引き潮の時にも見えない沖の石のように、人には知られないけれど、悲しみの涙で乾く暇もありません。

(解説)
・片想いの嘆き

・和泉式部(56)の歌の本歌取。
「わが袖は水の下なる石なれや 人に知られでかわく間もなし」

(出典)
07『千載和歌集』


(作者)
二条院讃岐(にじょういんのさぬき)。

・この歌が評判となり「沖の石の讃岐」と呼ばれるようになった。

・源頼政の娘。78代・二条天皇に仕えたあと、後鳥羽院(99)の中宮、宜秋門院任子に仕える。

・俊恵(85)の催した歌林苑にも参加した。


(品詞)

代名詞


助詞・格助詞


名詞


助詞・係助詞

潮干
名詞


助詞・格助詞

みえ
動詞「見ゆ」ヤ下二(未然)
/え/ゆ/ゆる/ゆれ/えよ)


助動詞「ず」打消(連体)
(〇/ず/ず//ね/〇)
(ざら/ざり/〇/ざる/ざれ/ざれ)


名詞


助詞・格助詞


名詞


助詞・格助詞


名詞

こそ
助詞・係助詞

知ら
動詞「知る」ラ四(未然)
/り/る/る/れ/れ)


助動詞「ず」打消(已然)
(〇/ず/ず/ぬ//〇)
(ざら/ざり/〇/ざる/ざれ/ざれ)

かわく
動詞「かわく」カ四(連体)
(か/き/く//け/け)


名詞


助詞・係助詞

なし
形容詞「なし」ク活用(終止)
– 本活用(〇/く//き/けれ/〇)
– 補助活用(助動詞)
(から/かり/〇/かる/〇/かれ)

(活用語)
わが袖は 潮干にみえ ぬ 沖の石の 人こそ知ら ね かわく間もなし

[動詞]
・見ゆ
・知る
・かわく

[形容詞]
・なし

[助動詞]
・ぬ・・「ず」打消
・ね・・「ず」打消

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91. きりぎりす 鳴くや霜夜の さむしろに 衣かたしき ひとりかも寝む / 後京極摂政前太政大臣

91. きりぎりす 鳴くや霜夜の さむしろに 衣かたしき ひとりかも寝む / 後京極摂政前太政大臣

(読み)
きりぎりす なくやしもよの さむしろに ころもかたしき ひとりかもねん(ごきょうごくせっしょう さきのだいじょうだいじん)

(訳)
こおろぎが鳴いている霜の降りた夜、寒々としたむしろに着物の片袖を敷いて、独り寝するのだろうか。

(解説)
・霜の降りた夜の独り寝のわびしさ

・妻に先立たれた辛い思いを、この歌に詠んだ。

・(3)「あしびきの」の本歌取。

(掛詞)
さむし
・(さ)むしろ
・寒し

(出典)
08『新古今和歌集』


(作者)
後京極摂政 前太政大臣(ごきょうごくせっしょう さきのだいじょうだいじん)。藤原(九条)良経(よしつね)。(1169~1206)

・『新古今集』の撰者の一人で、仮名序を執筆。

・家集『秋篠月清集(あきしのげっせいしゅう)』。

・父は藤原(九条)兼実(かねざね)、祖父は藤原忠道(76「わたのはら 漕ぎいでて」)、叔父は慈円(95)。

・七十二候・閉塞成冬(そらさむくふゆとなる)
片山に入り日のかげはさしながら しぐるともなき冬の夕暮れ(藤原良経)

・38才で亡くなる。


(品詞)
きりぎりす
名詞

鳴く
動詞「鳴く」カ四(連体)
(か/き/く//け/け)


助詞・間投助詞

霜夜
名詞


助詞・格助詞

さむしろ
名詞

(掛詞)
・さむしろ(名詞)
・寒し(形容詞)ク活用


助詞・格助詞


名詞

かたしき
動詞「かたしく」カ四(連用)
(か//く/く/け/け)

ひとり
名詞


助詞・係助詞


助詞・係助詞

(ね)
動詞「寝(ぬ)」ナ下二(未然)
/ね/ぬ/ぬる/ぬれ/ねよ)


助動詞「む」推量(連体)
未然形接続・四段型
(〇/〇/む//め/〇)

(活用語)
きりぎりす 鳴くや霜夜の さむしろに 衣かたしき ひとりかも

[動詞]
・鳴く
・かたしく
・寝(ぬ)

[形容詞]
・寒し

[助動詞]
・む・・「む」推量

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