94. み吉野の 山の秋風 さ夜ふけて ふるさと寒く 衣打つなり / 参議雅経

94. み吉野の 山の秋風 さ夜ふけて ふるさと寒く 衣打つなり / 参議雅経

(読み)
みよしのの やまのあきかぜ さよふけて ふるさとさむく ころもうつなり(さんぎまさつね)

(訳)
吉野の山の秋風が吹くころ、夜も更けて、この古い里は寒さが身にしみて、寒々と衣を打つ音が聴こえてくる。

(解説)
・山に響く衣を打つ音の寂しさ

・坂上是則(31「朝ぼらけ あ」)の歌をもとに詠んだ、本歌取りの歌。
「み吉野の 山の白雪 つもるらし ふるさと寒く なりまさるなり」。

・衣を打つ、砧(きぬた・木槌)の響きは漢詩(李白)の世界から取り込まれた情趣。

(出典)
08『新古今和歌集』


(作者)
参議雅経(さんぎまさつね)。藤原(飛鳥井・あすかい)雅経。(1170~1221)

・『新古今和歌集』の撰者の一人。

・けまりの名門・飛鳥井家を興した。(本歌取りの元の歌、坂上是則(31)も蹴鞠の名手であった)。後鳥羽上皇より「蹴鞠長者」と評される。

・源頼朝や源実朝(93)とも親交があった。


(品詞)
み吉野
(接頭語)+固有名詞


助詞・格助詞


名詞


助詞・格助詞

秋風
名詞

さ夜
(接頭語)+名詞

ふけ
動詞「ふく」カ下二(連用)
(け//く/くる/くれ/けよ)


助詞・接続助詞

ふるさと
名詞

寒く
形容詞「寒し」ク活用(連用)
– 本活用(〇//し/き/けれ/〇)
– 補助活用(助動詞)
(から/かり/〇/かる/〇/かれ)


名詞

打つ
動詞「打つ」タ四(終止)
(た/ち//つ/て/て)

なり
助動詞「なり」推定(終止)
終止形接続(ラ変は連体)・ラ変型
(〇/なり/なり/なる/なれ/〇)

(活用語)
み吉野の 山の秋風 さ夜ふけて ふるさと寒く打つ なり

[動詞]
・ふく
・打つ

[形容詞]
・寒し

[助動詞]
・なり・・「なり」推定

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83. 世の中よ 道こそなけれ 思い入る 山の奥にも 鹿ぞ鳴くなる / 皇太后宮太夫俊成

83. 世の中よ 道こそなけれ 思い入る 山の奥にも 鹿ぞ鳴くなる / 皇太后宮太夫俊成

(読み)
よのなかよ みちこそなけれ おもいいる やまのおくにも しかぞなくなる(こうたいごうぐうのだいぶしゅんぜい)

(訳)
この世の中にはつらさから逃れる道はないものだなあ。思いつめて山に入ったものの、山奥でも鹿が悲しげに鳴いているのだから。

(解説)
・山に入る・・「出家する」の意味もある。しかし山奥(仏の道)に入っても世の中のつらさからは逃れられないと気付いた。

(句切れ)
二句切れ

(出典)
07『千載和歌集』


(作者)
皇太后宮太夫俊成(こうたいごうぐうのだいぶしゅんぜい)。藤原俊成。(ふじわらのしゅんぜい)。(1114~1204)

・藤原定家(97)の父。

・7番目の勅撰和歌集『千載和歌集』の撰者(77代後白河院の命)。

・歌学書『古来風体抄(こらいふうていしょう)』を著す。(『万葉集』から『千載和歌集』までの秀歌をあげ、史的展開を論ずる歌論。)

・平安時代末期、戦乱が激しくなり貴族社会から武家社会へ移り変わろうとしていた。俊成の友人、佐藤義清(さとうのりきよ)も出家して、西行法師(86「嘆けとて」)となったことで、俊成も出家を考えたが、自分は歌の道で行くことを決めた。

・俊成と定家は御子左家(みこひだりけ)という歌道家。歌道家とは和歌の指導的立場を担う家。

・藤原俊成女(としなりのむすめ)は俊成の孫娘であり、養女。『無名草子』の作者である説が有力。


(品詞)
世の中
名詞


助詞・間投助詞


名詞

こそ
助詞・係助詞

なけれ
形容詞「なし」ク活用(已然)
本活用(〇/く/し/き/けれ
補助活用(助動詞)
(から/かり/〇/かる/〇/かれ)

思い入る
動詞「思い入る」ラ四(連体)
(ら/り/る//れ/れ)


名詞


助詞・格助詞


名詞


助詞・格助詞


助詞・係助詞

鹿
名詞


助詞・係助詞

鳴く
動詞「鳴く」カ四(終止)
(か/き//く/け/け)

なる
助動詞「なり」推定(連体)
連体形接続・ラ変型
(〇/なり/なり/なる/なれ/〇)

(活用語)
世の中よ 道こそなけれ 思い入る 山の奥にも 鹿ぞ鳴く なる

[動詞]
・思い入る
・鳴く

[形容詞]
・なし

[助動詞]
・なる・・「なり」推定

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74. 憂かりける 人を初瀬の 山おろしよ はげしかれとは 祈らぬものを / 源俊頼朝臣

(奈良・長谷寺)

74. 憂かりける 人を初瀬の 山おろしよ はげしかれとは 祈らぬものを / 源俊頼朝臣

(読み)
うかりける ひとをはつせの やまおろしよ はげしかれとは いのらぬものを(みなもとのとしよりあそん)

(訳)
つれなかったあの人が振り向いてくれるようにと観音様にお祈りしたのに、初瀬の山おろしよ、激しく辛くあたれとは祈らなかったのに。

(解説)
・奈良・初瀬の長谷寺は恋の願いが叶うと有名。十一面観音がある。

平安時代は観音信仰が盛ん。長谷寺(大和)、石山寺(近江)、清水寺(山城)などが、霊験(れいげん)験(あらた)かな寺として有名だった。

(出典)
07『千載和歌集』


(作者)
源俊頼朝臣(みなもとのとしよりあそん)。(1055?~1129?)

・父は源経信(つねのぶ)(71「夕されば」)。息子は俊恵法師(85「夜もすがら」)。

・「新風(しんぷう)」と呼ばれた革新的な歌風は後世にも影響を与え、藤原俊成(83「よのなかよ」)にも受け継がれた。

・白河上皇の命で『金葉和歌集』の撰者となる。

・歌学書『俊頼髄脳』を著す。

・音楽の才能もあったといわれる。

・曾禰好忠(そねのよしただ)の46「ゆらのとを」を本歌取りして、好忠へのリスペクトを表明した。


(品詞)
憂かり
形容詞「憂し」ク活用(連用)
– 本活用(〇/く/し/き/けれ/〇)
– 補助活用(助動詞)
(から/かり/〇/かる/〇/かれ)

ける
助動詞「けり」(連体)
連用形接続・ラ変型
(けら/〇/けり/ける/けれ/〇)


名詞


助詞・格助詞

初瀬
固有名詞


助詞・格助詞

山おろし
名詞


助詞・間投助詞

はげしかれ
形容詞「はげし」シク活用(命令)
– 本活用(〇/しく/し/しき/しけれ/〇)
– 補助活用(助動詞)
(しから/しかり/〇/しかる/〇/しかれ


助詞・格助詞


助詞・係助詞

祈ら
動詞「祈る」ラ四(未然)
/り/る/る/れ/れ)


助動詞「ず」打消(連体)
未然形接続・特殊型
(〇/ず/ず//ね/〇)
(ざら/ざり/〇/ざる/ざれ/ざれ)

ものを
助詞・接続助詞

 

(活用語)
憂かりける 人を初瀬の 山おろしよ はげしかれとは 祈らぬものを

[動詞]
・祈る

[形容詞]
・憂し
・はげし

[助動詞]
・ける・・「けり」過去
・ぬ・・「ず」打消

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69. 嵐吹く 三室の山の もみぢ葉は 竜田の川の 錦なりけり / 能因法師

69. 嵐吹く 三室の山の もみぢ葉は 竜田の川の 錦なりけり / 能因法師

(読み)
あらしふく みむろのやまの もみじばは たつたのかわの にしきなりけり(のういんほうし)

(訳)
嵐が吹いて散らした奈良の三室山のもみじ葉が、龍田川の水面を覆いつくしてまるで錦織のように見事な風景だ。

(語句)
・三室の山・・奈良にある紅葉の名所
・龍田の川・・三室山の東を流れる川。紅葉の名所。
・錦なりけり・・錦の織物のようである。「錦」は金や銀の糸などを用いた豪華な織物。

(出典)
04『後拾遺和歌集』


(作者)
能因法師(のういんほうし)。橘永愷(たちばなのながやす)。(988-1050)

・26才のころ恋人を亡くした悲しみで出家。全国を旅しながら歌を詠み、歌枕(歌に詠まれる地名)をまとめた『能因歌枕(のういんうたまくら)』を著す。

・「数寄者(すきしゃ)」とは、あることを好み、それに打ち込む人を指すが、和歌に異様に執念を燃やす人もこう呼ぶ。能因はその典型であった。


(品詞)

名詞

吹く
動詞「吹く」カ四(連体)
(か/き/く//け/け)

三室の山
固有名詞


助詞・格助詞

もみぢ葉
名詞


助詞・係助詞

竜田の川
固有名詞


助詞・格助詞


名詞

なり
助動詞「なり」断定(連用)
連体形接続・形容動詞型
(なら/なり or に/なり/なる/なれ/なれ)

けり
助動詞「けり」詠嘆(終止)
連用形接続・ラ変型
(けら/〇/けり/ける/けれ/〇)

 

(活用語)
吹く 三室の山の もみぢ葉は 竜田の川の 錦なり けり

[動詞]
・吹く

[助動詞]
・なり・・「なり」(断定)
・けり・・「けり」(詠嘆)

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66. もろともに あはれと思へ 山ざくら 花よりほかに 知る人もなし / 前大僧正行尊

66. もろともに あはれと思へ 山ざくら 花よりほかに 知る人もなし / 前大僧正行尊

(読み)
もろともに あはれとおもえ やまざくら はなよりほかに しるひともなし(さきのだいそうじょうぎょうそん)

(訳)
山桜よ、私がお前をしみじみと懐かしく思うように、お前も私を懐かしく思っておくれ。お前のほかに私の心を知る人もいないのだから。

(語句)
・もろともに・・一緒に
・あはれと思へ・・しみじみ懐かしいと思っておくれ
・花よりほかに知る人もなし・・山桜のほかには分かってくれる人もいない

(句切れ)
三句切れ

(解説)
・大峰山で修行中に山桜を見つけ詠んだ。山の中にひっそりと咲く山桜に、孤独にたえて修行する自分の姿を重ね合わせた。

大峰山は修験道(しゅげんどう)の霊場として知られる。

(出典)
05『金葉和歌集』


(作者)
大僧正行尊(さきのだいそうじょうぎょうそん)。(1055-1135)

・源基平(もとひら)の子。12才で出家。以後、天台宗・三井寺で厳しい修行を積む。

・三条院(68「こころにも」)のひ孫。白河天皇、鳥羽天皇、崇徳天皇(77「せをはやみ」)に僧として仕えた。


(品詞)
もろともに
副詞

あはれ
形容動詞「あはれなり」(語幹)


助詞・格助詞

思へ
動詞「思ふ」ハ四(命令)
(は/ひ/ふ/ふ/へ/

山ざくら
名詞


名詞

より
助詞・格助詞

ほか
名詞


助詞・格助詞

知る
動詞(知る)ラ四(連体)
(ら/り/る//れ/れ)


名詞


助詞・係助詞

なし
形容詞「なし」ク活用(終止)
– 本活用(〇/く//き/けれ/〇)
– 補助活用(助動詞)
(から/かり/〇/かる/〇/かれ)

(活用語)
もろともに あはれ思へ 山ざくら 花よりほかに 知る人もなし

[動詞]
・思ふ
・知る

[形容詞]
・なし

[形容動詞]
・あはれなり

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60. 大江山 いく野の道の 遠ければ まだふみも見ず 天の橋立 / 小式部内侍

(京都・天橋立)

60. 大江山 いく野の道の 遠ければ まだふみも見ず 天の橋立 / 小式部内侍

(読み)
おおえやま いくののみちの とおければ まだふみもみず あまのはしだて(こしきぶのないし)

(訳)
大江山を超えて生野を通る道は遠いので、丹後国の天橋立に行ったこともありませんし、母からの手紙も見ていません。

(語句)
・遠ければ・・遠いので
「遠し」の已然形「けれ」+接続助詞「ば」→確定条件

(掛詞)
いく
・生野(いくの)・・京都府福知山市の地名
・行く
・幾(いく)・・多くの

ふみ
・踏み(歩いていく)
・文

(句切れ)
四句切れ

(縁語)
「踏み」は「橋」の縁語

(解説)
・天橋立は日本三景の一つ。(松島・厳島・天橋立)

・大江山・・山城国と丹後国の間にまたがる山

・藤原定頼(64「朝ぼらけ」が、小式部内侍をからかったことに対してピシャリと答えた歌。

(出典)
05『金葉和歌集』


(作者)
小式部内侍(こしきぶのないし)(1000~1025)

母は和泉式部56「あらざらん」。父は橘道貞。母とともに中宮彰子に仕えるが、25才で若くして病気で亡くなる。


(品詞)
大江山
固有名詞

いく野
(掛詞)
(1)行く・・動詞「行く」カ四
(か/き/く/く/け/け)
(2)生野・・固有名詞
(3)幾(いく)


助詞・格助詞


名詞


助詞・格助詞

遠けれ
形容詞「遠し」ク活用(已然)
(〇/く/し/き/けれ/〇)


助詞・接続助詞

まだ
副詞

ふみ
(掛詞)
(1)文・・名詞
(2)踏み・・動詞「踏む」マ四(連用)
(ま//む/む/め/め)


助詞・係助詞


動詞「見る」マ上一(未然)
/み/みる/みる/みれ/みよ)


助動詞「ず」打消(終止)
未然形接続・特殊型
– 本活用(〇/ず/ず/ぬ/ね/〇)
– 補助活用(助動詞)
(ざら/ざり/〇/ざる/ざれ/ざれ)

天の橋立
固有名詞

 

(活用語)
大江山 いく野の道の 遠ければ まだふみも 天の橋立

[動詞]
・行く
・見る

[形容詞]
・遠し

[助動詞]
・ず・・「ず」打消

 


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58. 有馬山 いなの笹原 風吹けば いでそよ人を わすれやはする / 大弐三位

58. 有馬山 いなの笹原 風吹けば いでそよ人を わすれやはする / 大弐三位

(読み)
ありまやま いなのささはら かぜふけば いでそよひとを わすれやはする(だいにのさんみ)

(訳)
有馬山から猪名の笹原に風が吹くと、笹の葉がそよそよと音を立てます。そうよ、そうよ、どうして私があなたを忘れるでしょうか。

(語句)
・有馬山・・摂津国(せっつのくに)・有馬郡にある山。
・ゐなの笹原・・摂津国を流れる猪名川周辺の笹原。
・いでそよ・・さあ、そうよ。
・忘れやはする・・忘れるでしょうか、いいえ、忘れないでしょう。
「やは」は「反語」

(掛詞)
そよ
・「そうよ」
・葉音の「そよそよ」

(係り結び)
やは→する(連体)

(出典)
04『後拾遺和歌集』


(作者)
大弐三位(だいにのさんみ)。藤原賢子(かたこ)。(999~)

・母は紫式部(57「めぐりあいて」)。70代後冷泉天皇の乳母となり、従三位(じゅさんみ)に除せられた。


(品詞)
有馬山
固有名詞

いな
固有名詞


助詞・格助詞

笹原
名詞


名詞

吹け
動詞「吹く」カ四(已然)
(か/き/く/く//け)


助詞・接続助詞

いで
副詞


代名詞


助詞・終助詞


名詞


助詞・格助詞

わすれ
動詞「わする」ラ下二(連用)
(れ//る/るる/るれ/れよ)

やは
助詞・係助詞

する
動詞「す」サ変(連体)
(せ/し/す/する/すれ/せよ)

(活用語)
有馬山 いなの笹原 風吹けば いでそよ人を わすれやはする

[動詞]
・吹く
・わする

 

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26. 小倉山 峰のもみじ葉 心あらば いまひとたびの みゆき待たなむ / 貞信公

26. 小倉山 峰のもみじ葉 心あらば いまひとたびの みゆき待たなむ / 貞信公

(読み)
おぐらやま みねのもみじば こころあらば いまひとたびの みゆきまたなん / ていしんこう

(訳)
小倉山の紅葉よ、もし、もののあわれを分かる心があるならば、もう一度天皇の行幸(みゆき)まで散らずに待っていてほしい

(解説)
・小倉山・・京都市右京区嵯峨にあるもみじの名所

・宇多上皇の御幸(みゆき)の際に「息子の醍醐天皇にも見せたい」と言われたのを受けて詠んだ。

・醍醐天皇はこのあと小倉山に行幸された。これ以降、小倉山への天皇の行幸が恒例となり、紅葉の名所となった。

「行幸(みゆき)」は天皇のお出かけ。
「御幸(みゆき)」は上皇、法王のお出かけ。

(出典)
03『拾遺和歌集』


(作者)
貞信公(ていしんこう)。藤原忠平(ふじわらのただひら)(880~949)

・藤原基経の四男。温厚な性格。60代醍醐・61代朱雀天皇に仕える。摂政、太政大臣、関白となる。

・摂政・藤原基経の子、時平、仲平、忠平の3兄弟は、三平(さんひら)と呼ばれ、藤原氏繁栄の基礎を築いた。


(品詞)
小倉山 峰のもみじ葉 心あらば いまひとたびの みゆき待たなむ

小倉山
固有名詞


名詞


助詞・格助詞

もみじ葉
名詞


名詞

あら
動詞「あり」ラ変(未然)
/り/り/る/れ/れ)


助詞・接続助詞

いま
副詞

ひとたび
名詞


助詞・格助詞

みゆき
名詞

待た
動詞「待つ」タ四(未然)
/ち/つ/つ/て/て)

なむ
助詞・終助詞

(活用語)
小倉山 峰のもみじ葉 心あらば いまひとたびの みゆき待たなむ

[動詞]
・あり
・待つ

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25. 名にしおはば 逢坂山の さねかづら 人に知られで くるよしもがな / 三条右大臣

25. 名にしおはば 逢坂山の さねかづら 人に知られで くるよしもがな / 三条右大臣

(読み)
なにしおわば おうさかやまの さねかずら ひとにしられで くるよしもがな / さんじょううだいじん

(訳)
その名前を負うなら逢坂山のさねかずらよ。たぐりよせて人に知られずに会えたらいいのに。

(解説)
・「もがな」・・~ならいいのに(願望)

・逢坂山は山城国(京都)と近江国(滋賀)の境界にある山。

(出典)
02『後撰和歌集』


(作者)
三条右大臣(さんじょううだいじん)。藤原定方(ふじわらのさだかた)。(873~932)

・京都・三条に屋敷があった。和歌や管弦にすぐれ女性に人気があった。

・いとこの藤原兼輔(27「みかの原」)とともに、醍醐朝の歌壇のパトロン的存在であり、紀貫之(35「人はいさ」)らを支援した。

 

さねかずら


(品詞)

名詞


助詞・格助詞


助詞・副助詞

おは
動詞「おふ」ハ四(未然)
/ひ/ふ/ふ/へ/へ)


助詞・接続助詞

逢坂山
固有名詞


助詞・格助詞

さねかづら
名詞


名詞


助詞・格助詞

知ら
動詞「知る」(未然)
/り/り/る/れ/れ)


助動詞「る」(未然)
未然形接続・下二段型
/れ/る/るる/るれ/れよ)


助詞・接続助詞(打消)

くる
動詞「来(く)」カ変(連体)
(こ/き/く/くる/くれ/こ(こよ))

よし
名詞

もがな
助詞・終助詞

 

(活用語)
名にしおはば 逢坂山の さねかづら 人に知ら れくるよしもがな

[動詞]
・おふ
・知る
・来

[助動詞]
・れ・・「る」受身

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24. このたびは ぬさもとりあへず 手向山 もみぢの錦 神のまにまに / 菅家

24. このたびは ぬさもとりあへず 手向山 もみぢの錦 神のまにまに / 菅家

(読み)
このたびは ぬさもとりあえず たむけやま もみじのにしき かみのまにまに / かんけ

(訳)
今度の旅ではお供えする幣も用意できていません。手向山の美しい紅葉を幣の代わりにするので神の御心にお任せします。

(句切れ)
二句切れ

(解説)
・898年10月、59代・宇多天皇のお供をして吉野の宮滝へ行き、奈良坂へさしかかったときの歌。

・幣(ぬさ)、錦、紅葉を、知的で華麗な連想でつないだ一首。

(出典)
01『古今和歌集』


(作者)
菅家(かんけ)は尊称。菅原道真(すがわらのみちざね)。(845~903)

・文章博士。学者、政治家。59代宇多天皇に重用され、右大臣にまで登った。

・漢詩集『菅家文草(かんけぶんそう)』『菅家後集(かんけこうしゅう)』を記す。

・遣唐使の廃止を提案。(参議篁(11「わたのはらや)が最初に提案)。

・901年、無実の罪で藤原時平に大宰府に左遷される。

・九州太宰府を始め全国の天満宮で天神様、学問の神様として信仰を集める。

<(参考)コミック『応天の門』灰原薬>


(品詞)

代名詞


助詞・格助詞

たび
名詞


助詞・係助詞

ぬさ
名詞


助詞・係助詞

とりあへ
動詞「とりあふ」ハ下二(未然)
/へ/ふ/ふる/ふれ/へよ)


助動詞「ず」打消(終止)
未然形接続・特殊型
(〇/ず//ぬ/ね/〇)
(ざら/ざり/〇/ざる/ざれ/ざれ)

手向山
名詞

もみぢ
名詞


助詞・格助詞


名詞


名詞


助詞・格助詞

まにまに
副詞

 

(活用語)
このたびは ぬさもとりあへ ず 手向山 もみぢの錦 神のまにまに

[動詞]
・とりあふ

[助動詞]
・ず・・「ず」打消

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