百人一首note

百人一首【歌番号順】

百人一首【歌番号順】
11 21 31 41 51 61 71 81 91

1 秋の田のかりほの庵の苫をあらみ わが衣手は露にぬれつつ 天智天皇
2 春すぎて夏来にけらし白妙の 衣ほすてふ天の香具山 持統天皇
3 あしびきの山鳥の尾のしだり尾の ながながし夜をひとりかも寝む 柿本人麻呂
4 田子の浦にうちいでて見れば白妙の 富士の高嶺に雪はふりつつ 山辺赤人
5 奥山に紅葉踏みわけ鳴く鹿の 声聞くときぞ秋は悲しき 猿丸大夫
6 かささぎのわたせる橋に置く霜の 白きを見れば夜ぞふけにける 大伴家持
7 天の原ふりさけ見れば春日なる 三笠の山にいでし月かも 阿部仲麿
8 わが庵は都のたつみしかぞ住む 世を宇治山と人は言ふなり 喜撰法師
9 花の色はうつりにけりないたづらに わが身世にふる ながめせしまに 小野小町
10 これやこの行くも帰るもわかれては 知るも知らぬも 逢坂の関 蝉丸
11 わたの原 八十島かけて 漕ぎいでぬと 人にはつげよ あまのつり舟 参議篁
12 天つ風 雲の通ひ路 ふきとぢよ をとめの姿 しばしとどめむ 僧正遍昭
13 つくばねの みねよりおつる みなの川 恋ぞつもりて 淵となりぬる 陽成院
14 陸奥の しのぶもぢずり 誰ゆゑに みだれそめにし われならなくに 河原左大臣
15 君がため 春の野にいでて 若菜つむ わが衣手に 雪はふりつつ 光孝天皇
16 立ちわかれ いなばの山の みねに生ふる まつとし聞かば いま帰り来む 中納言行平
17 ちはやぶる 神代もきかず 竜田川 からくれなゐに 水くくるとは 在原業平朝臣
18 住の江の 岸による波 よるさへや 夢の通ひ路 人目よくらむ 藤原敏行朝臣
19 難波潟 みじかき葦の ふしの間も あはでこの世を すぐしてよとや 伊勢
20 わびぬれば 今はたおなじ 難波なる みをつくしても 逢はむとぞ思ふ 元良親王
21 いま来むと 言ひしばかりに 長月の 有明の月を 待ちいでつるかな 素性法師
22 吹くからに 秋の草木の しをるれば むべ山風を あらしといふらむ 文屋康秀
23 月見れば ちぢにものこそ 悲しけれ わが身ひとつの 秋にはあらねど 大江千里
24 このたびは 幣もとりあへず 手向山 紅葉のにしき 神のまにまに 菅家
25 名にしおはば 逢坂山の さねかづら 人に知られで くるよしもがな 三条右大臣
26 小倉山 峰のもみぢ葉 心あらば いまひとたびの みゆき待たなむ 貞信公
27 みかの原 わきて流るる いづみ川 いつみきとてか 恋しかるらむ 中納言兼輔
28 山里は 冬ぞさびしさ まさりける 人めも草も かれぬと思へば 源宗于朝臣
29 心あてに 折らばや折らむ 初霜の おきまどはせる 白菊の花 凡河内躬恒
30 有明けの つれなく見えし わかれより 暁ばかり うきものはなし 壬生忠岑
31 朝ぼらけ 有明の月と 見るまでに 吉野の里に ふれる白雪 坂上是則
32 山川に 風のかけたる しがらみは 流れもあへぬ もみぢなりけり 春道列樹
33 ひさかたの 光のどけき 春の日に しづ心なく 花の散るらむ 紀友則
34 誰をかも 知る人にせむ 高砂の 松も昔の 友ならなくに 藤原興風
35 人はいさ 心も知らず ふるさとは 花ぞ昔の 香ににほひける 紀貫之
36 夏の夜は まだ宵ながら 明けぬるを 雲のいづこに 月やどるらむ 清原深養父
37 白露に 風のふきしく 秋の野は つらぬきとめぬ 玉ぞ散りける 文屋朝康
38 忘らるる 身をば思はず 誓ひてし 人の命の 惜しくもあるかな 右近
39 浅茅生の をののしの原 しのぶれど あまりてなどか 人の恋しき 参議等
40 しのぶれど 色にいでにけり わが恋は ものや思ふと 人の問ふまで 平兼盛
41 恋すてふ わが名はまだき 立ちにけり 人しれずこそ 思ひそめしか 壬生忠見
42 契りきな かたみに袖を しぼりつつ 末の松山 波こさじとは 清原元輔
43 逢ひ見ての のちの心に くらぶれば 昔はものを 思はざりけり 権中納言敦忠
44 逢ふことの 絶えてしなくは なかなかに 人をも身をも うらみざらまし 中納言朝忠
45 あはれとも 言ふべき人は 思ほえで 身のいたづらに なりぬべきかな 謙徳公
46 由良のとを わたる舟人 かぢを絶え ゆくへも知らぬ 恋の道かな 曽祢好忠
47 八重むぐら しげれる宿の さびしきに 人こそ見えね 秋はきにけり 恵慶法師
48 風をいたみ 岩うつ波の おのれのみ くだけてものを 思ふころかな 源重之
49 みかきもり 衛士のたく火の 夜は燃え 昼は消えつつ ものをこそ思へ 大中臣能宣朝臣
50 君がため 惜しからざりし 命さへ ながくもがなと 思ひけるかな 藤原義孝
51 かくとだに えやは伊吹の さしも草 さしも知らじな もゆる思ひを 藤原実方朝臣
52 明けぬれば 暮るるものとは 知りながら なほうらめしき 朝ぼらけかな 藤原道信朝臣
53 なげきつつ ひとりぬる夜の 明くる間は いかに久しき ものとかは知る 右大将道綱母
54 わすれじの 行く末までは かたければ 今日をかぎりの 命ともがな 儀同三司母
55 滝の音は 絶えてひさしく なりぬれど 名こそ流れて なほ聞こえけれ 大納言公任
56 あらざらむ この世のほかの 思ひ出に いまひとたびの 逢ふこともがな 和泉式部
57 めぐりあひて 見しやそれとも わかぬ間に 雲がくれにし 夜半の月かな 紫式部
58 有馬山 猪名の笹原 風ふけば いでそよ人を 忘れやはする 大弐三位
59 やすらはで 寝なましものを 小夜ふけて かたぶくまでの 月をみしかな 赤染衛門
60 大江山 いくのの道の 遠ければ まだふみもみず 天の橋立 小式部内侍
61 いにしへの 奈良の都の 八重桜 今日九重に にほひぬるかな 伊勢大輔
62 夜をこめて 鳥のそらねは はかるとも よに逢坂の 関はゆるさじ 清少納言
63 いまはただ 思ひ絶えなむ とばかりを 人づてならで 言ふよしもがな 左京大夫道雅
64 朝ぼらけ 宇治の川霧 たえだえに あらはれわたる 瀬々の網代木 権中納言定頼
65 うらみわび ほさぬ袖だに あるものを 恋に朽ちなむ 名こそ惜しけれ 相模
66 もろともに あはれと思へ 山桜 花よりほかに しる人もなし 前大僧正行尊
67 春の夜の 夢ばかりなる 手枕に かひなく立たむ 名こそ惜しけれ 周防内侍
68 こころにも あらでうき世に ながらへば 恋しかるべき 夜半の月かな 三条院
69 あらしふく 三室の山の もみぢ葉は 龍田の川の にしきなりけり 能因法師
70 さびしさに 宿を立ちいでて ながむれば いづこもおなじ 秋の夕暮れ 良暹法師
71 夕されば 門田の稲葉 おとづれて 葦のまろやに 秋風ぞふく 大納言経信
72 音にきく 高師の浜の あだ波は かけじや袖の ぬれもこそすれ 祐子内親王家紀伊
73 高砂の 尾の上の桜 さきにけり 外山の霞 たたずもあらなむ 権中納言匡房
74 うかりける 人を初瀬の 山おろしよ はげしかれとは いのらぬものを 源俊頼朝臣
75 ちぎりおきし させもが露を 命にて あはれ今年の 秋もいぬめり 藤原基俊
76 わたの原 漕ぎいでて見れば ひさかたの 雲居にまがふ 沖つ白波 法性寺入道前関白太政大臣
77 瀬をはやみ 岩にせかるる 滝川の われても末に 逢はむとぞ思ふ 崇徳院
78 淡路島 かよふ千鳥の 鳴く声に 幾夜ねざめぬ 須磨の関守 源兼昌
79 秋風に たなびく雲の 絶え間より もれいづる月の 影のさやけさ 左京大夫顕輔
80 ながからむ 心も知らず 黒髪の みだれて今朝は ものをこそ思へ 待賢門院堀河
81 ほととぎす 鳴きつるかたを ながむれば ただ有明の 月ぞのこれる 後徳大寺左大臣
82 思ひわび さても命は あるものを 憂きにたへぬは 涙なりけり 道因法師
83 世の中よ 道こそなけれ 思ひ入る 山の奥にも 鹿ぞ鳴くなる 皇太后宮大夫俊成
84 ながらへば またこのごろや しのばれむ 憂しと見し世ぞ 今は恋しき 藤原清輔朝臣
85 夜もすがら もの思ふころは 明けやらで ねやのひまさへ つれなかりけり 俊恵法師
86 なげけとて 月やはものを 思はする かこち顔なる わが涙かな 西行法師
87 村雨の 露もまだひぬ まきの葉に 霧たちのぼる 秋の夕暮れ 寂蓮法師
88 難波江の 葦のかりねの ひとよゆゑ みをつくしてや 恋ひわたるべき 皇嘉門院別当
89 玉の緒よ 絶えなば絶えね 長らへば しのぶることの 弱りもぞする 式子内親王
90 見せばやな 雄島のあまの 袖だにも ぬれにぞぬれし 色は変はらず 殷富門院大輔
91 きりぎりす 鳴くや霜夜の さむしろに ころもかたしき ひとりかも寝む 後京極摂政前太政大臣
92 わが袖は 潮干にみえぬ 沖の石の 人こそ知らね かわく間もなし 二条院讃岐
93 世の中は つねにもがもな 渚こぐ あまの小舟の 綱手かなしも 鎌倉右大臣
94 み吉野の 山の秋風 小夜ふけて ふるさとさむく 衣うつなり 参議雅経
95 おほけなく うき世の民に おほふかな わがたつ杣に すみぞめのそで 前大僧正慈円
96 花さそふ あらしの庭の 雪ならで ふりゆくものは わが身なりけり 入道前太政大臣
97 来ぬ人を まつほの浦の 夕なぎに 焼くや藻塩の 身もこがれつつ 権中納言定家
98 風そよぐ ならの小川の 夕暮れは みそぎぞ夏の しるしなりける 従二位家隆
99 人も惜し 人もうらめし あぢきなく 世を思ふゆゑに もの思ふ身は 後鳥羽院
100 百敷や ふるき軒端の しのぶにも なほあまりある 昔なりけり 順徳院

 

【歌番号】11 21 31 41 51 61 71 81 91

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百人一首【五十音順】歌一部版

百人一首【五十音順】歌一部版  歌全部版

   え     く け 
    そ     て と
 に ぬ ね の     へ 
ま         

  秋風に あきかぜに 79
秋の田の あきのたの 1
明けぬれば あけぬれば 52
あさじうの あさじうの 39
朝ぼらけあ あさぼらけあ 31
朝ぼらけう あさぼらけう 64
あしびきの あしびきの 3
淡路島 あわじしま 78
あはれとも あはれとも 45
逢ひ見ての あひみての 43
逢ふ事の あふことの 44
天つ風 あまつかぜ 12
天の原 あまのはら 7
あらざらむ あらざらむ 56
嵐吹く あらしふく 69
有明の ありあけの 30
有馬山 ありまやま 58
  いにしへの いにしへの 61
今来むと いまこむと 21
今はただ いまはただ 63
  憂かりける うかりける 74
恨みわび うらみわび 65
  奥山に おくやまに 5
音に聞く おとにきく 72
大江山 おおえやま 60
小倉山 おぐらやま 26
おほけなく おほけなく 95
思ひわび おもひわび 82
  かくとだに かくとだに 51
かささぎの かささぎの 6
風そよぐ かぜそよぐ 98
風をいたみ かぜをいたみ 48
  君がため春 きみがためは 15
君がため惜し きみがためを 50
きりぎりす きりぎりす 91
  心あてに こころあてに 29
心にも こころにも 68
来ぬ人を こぬひとを 97
このたびは このたびは 24
恋すてふ こいすてふ 41
これやこの これやこの 10
  さびしさに さびしさに 70
  忍ぶれど しのぶれど 40
白露に しらつゆに 37
  住の江の すみのえの 18
  瀬を早み せをはやみ 77
  高砂の たかさごの 73
滝の音は たきのおとは 55
田子の浦に たごのうらに 4
立ち別れ たちわかれ 16
玉の緒よ たまのおよ 89
誰をかも たれをかも 34
  契りおきし ちぎりおきし 75
契りきな ちぎりきな 42
ちはやぶる ちはやぶる 17
  月みれば つきみれば 23
筑波嶺の つくばねの 13
  長からむ ながからむ 80
ながらへば ながらへば 84
嘆きつつ なげきつつ 53
嘆けとて なげけとて 86
夏の夜は なつのよは 36
名にしおはば なにしおはば 25
難波江の なにわえの 88
なにわがた なにわがた 19
  花さそふ はなさそふ 96
花の色は はなのいろは 9
春過ぎて はるすぎて 2
春の夜の はるのよの 67
  ひさかたの ひさかたの 33
人はいさ ひとはいさ 35
人もをし ひともをし 99
  吹くからに ふくからに 22
  ほととぎす ほととぎす 81
  みかきもり みかきもり 49
みかの原 みかのはら 27
見せばやな みせばやな 90
みちのくの みちのくの 14
み吉野の みよしのの 94
  村雨の むらさめの 87
  めぐり逢ひて めぐりあひて 57
 も 百敷や ももしきや 100
もろともに もろともに 66
  やすらはで やすらはで 59
八重むぐら やへむぐら 47
山川に やまかわに 32
山里は やまざとは 28
  夕されば ゆうされば 71
由良の門を ゆらのとを 46
  世の中は よのなかは 93
世の中よ よのなかよ 83
夜もすがら よもすがら 85
夜をこめて よをこめて 62
  わが庵は わがいおは 8
わが袖は わがそでは 92
忘らるる わすらるる 38
忘れじの わすれじの 54
わたのはらこ わたのはらこ 76
わたのはらや わたのはらや 11
わびぬれば わびぬれば 20

 

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10の勅撰和歌集

260103

・10の勅撰和歌集

和歌集名 成立年(元号) 撰者 勅撰者
古今和歌集 905年
(延喜5年)
・紀貫之(35
・紀友則(33
・凡河内躬恒(29
・壬生忠岑(30
醍醐天皇
後撰和歌集 951年
(天暦5年)
・清原元輔(42
・源順
・大中臣能宣(49) 他
村上天皇
拾遺和歌集 1004年頃
(寛弘2年頃)
・花山院
(藤原公任(55)とも)
花山院
後拾遺和歌集 1086年
(応徳3年)
・藤原通俊 白河天皇
金葉和歌集 1127年
(大治2年)
・源俊頼(74 白河院
詞花和歌集 1151年
(仁平元年)
・藤原顕輔(79 崇徳院(77
千載和歌集 1188年
(文治4年)
・藤原俊成(83 後白河院
新古今和歌集 1205年
(元久2年)
・藤原定家(97
・藤原家隆(98) 他
後鳥羽院
新勅撰和歌集 1235年
(天暦5年)
・藤原定家(97 後堀河天皇
続後撰和歌集 1251年
(建長3年)
・藤原為家 後嵯峨院

 


1. 『古今和歌集(こきんわかしゅう)

成立年:905年(延喜5年)

勅撰者:醍醐天皇

撰者:
・紀貫之(35
・紀友則(33
・凡河内躬恒(おおしこうちのみつね)(29
・壬生忠岑(みぶのただみね)(30

特徴:最初の勅撰和歌集。「仮名序(かなじょ)」を紀貫之が記し、和歌の理想を提示した。


2. 『後撰和歌集(ごせんわかしゅう)

成立年:951年(天暦5年)

勅撰者:村上天皇

撰者:藤原伊尹(これただ)(45)を別当(責任者)に、宮中の梨壺(昭陽舎)で撰集を開始。「梨壺の5人」と呼ばれる。

「梨壺の5人」
・清原元輔(42
・源順(みなもとのしたごう)
・大中臣能宣(おおなかとみのよしのぶ)(49
・紀時文
・坂上望城(もちき)

特徴:古今集に次ぐ第2の勅撰集で、やや技巧的・叙景的な歌が増える。


3. 『拾遺和歌集(しゅういわかしゅう)』

成立年:1005年頃(寛弘2年頃)

撰者:藤原公任(ふじわらのきんとう)ら(公任の私撰説もある)

勅撰者:花山院(花山法皇)の意向とされる

特徴:前二集よりも洗練された技巧が見られる。


4.『後拾遺和歌集(ごしゅういわかしゅう)』

成立年:1086年(応徳3年)

勅撰者:白河天皇

撰者:藤原通俊(みちとし)

特徴:清新で感傷的な歌風が特徴。


5. 『金葉和歌集(きんようわかしゅう)』

成立年:1127年(大治2年)

勅撰者:鳥羽天皇

撰者:源俊頼(みなもとのとしより)(74

特徴:技巧的で華麗な作風が特徴。


6.『 詞花和歌集(しかわかしゅう)』

成立年:1151年(仁平元年)

勅撰者:崇徳院

撰者:藤原顕輔(あきすけ)(79

特徴:情緒や余情を大切にした歌が多い。


7. 『千載和歌集(せんざいわかしゅう)』

成立年:1188年(文治4年)

勅撰者:後白河法皇

撰者:藤原俊成(としなり)(83

特徴:「幽玄」「有心」を追求した院政期の代表的和歌集。


8. 『新古今和歌集(しんこきんわかしゅう)』

成立年:1205年(元久2年)

勅撰者:後鳥羽上皇

撰者:藤原定家(さだいえ)(97)・藤原家隆(いえたか)(98) ら複数名

特徴:和歌の極致とも称される美的完成度を誇る。象徴性や技巧が極まる。


9. 『新勅撰和歌集(しんちょくせんわかしゅう)』

成立年:1235年(天暦5年)

勅撰者:後堀河天皇

撰者:藤原定家(さだいえ/ていか)(97

特徴:『新古今集』の華麗な歌風とは異なり、平淡で優雅な歌風を特徴とし、武家(幕府側)の歌人も多く取り入れられたため『宇治川集』とも呼ばれ、二条家を主流とする中世歌壇の方向性を決定づけた重要な歌集


10. 『続後撰和歌集(しょくごせんわかしゅう)』

成立年:1251年(建長3年)

勅撰者:後嵯峨院

撰者:藤原為家(藤原定家の子)

特徴:承久の乱後の内裏歌壇の復興を目指し、新古今歌人の歌や藤原定家・為家ら新世代の歌人を多く収め、新古今時代の流れを汲みつつ、やや平淡な歌風が特徴の歌集

 

藤原定家

藤原定家(1162~1241)

小倉百人一首の撰者。「97来ぬ人を」の作者。権中納言定家。日記『明月記』。

宇都宮頼綱(息子の妻の父)に依頼されて嵯峨野の小倉山の別荘に飾るための歌を選んだ。

定家の父、藤原俊成(83世の中よ)は「幽玄(神秘的で奥深い美)」を提唱。

定家はそれにもとづいた芸術性の高い和歌を選んで『新古今和歌集』(13C初、鎌倉時代)をつくった。後鳥羽院の勅命。(『古今和歌集』は10C初、平安時代)。

定家が唱えた「有心体(うしんたい)」とは趣深い内容を優美に表現する風情のある読み方。和歌の究極とされた。

また源氏物語の書写をして後世に残した。

 

百人一首【五十音順】歌全部版

百人一首【五十音順】歌全部版  歌一部版

   え     く け 
    そ     て と
 に ぬ ね の     へ 
ま         

 あ 79 秋風に秋風にたなびく雲の絶え間より もれ出ずる月の影のさやけさ あきかぜに
1 秋の田の仮庵の庵の苫をあらみ わが衣手は露にぬれつつ あきのたの
52 明けぬれば暮るるものとは知りながら なお恨めしき朝ぼらけかな あけぬれば
39 浅茅生の小野の篠原忍ぶれど あまりてなどか人の恋しき あさじうの
31 朝ぼらけ有明けの月と見るまでに 吉野の里に降れる白雪 あさぼらけあ
64 朝ぼらけ宇治の川霧絶えだえに あらはれ渡る瀬々の網代木 あさぼらけう
3 あしびきの山鳥の尾のしだり尾の 長々し夜をひとりかも寝む あしびきの
78 淡路島かよふ千鳥の鳴く声に 幾夜ねざめぬ須磨の関守 あわじしま
45 あはれともいふべき人は思ほえで 身のいたづらになりぬべきかな あはれとも
43 逢い見てののちの心にくらぶれば 昔は物を思はざりけり あひみての
44 逢ふことの絶えてしなくはなかなかに 人をも身をも恨みざらまし あふことの
12 天つ風雲の通ひ路吹きとぢよ をとめの姿しばしとどめむ あまつかぜ
7 天の原ふりさけ見れば春日なる 三笠の山にいでし月かも あまのはら
56 あらざらむこの世のほかの思ひ出に 今一たびの逢ふこともがな あらざらむ
69 嵐吹く三室の山のもみぢ葉は 竜田の川の錦なりけり あらしふく
30 有明けのつれなく見えし別れより 暁ばかり憂きものはなし ありあけの
58 有馬山いなの笹原風吹けば いでそよ人をわすれやはする ありまやま
  61 いにしへの奈良の都の八重桜 今日九重ににほひぬるかな いにしへの
21 いま来むといひしばかりに長月の ありあけの月を待ち出でつるかな いまこむと
63 今はただ思ひたえなむとばかりを 人づてならでいふよしもがな いまはただ
  74 憂かりける人を初瀬の山おろしよ はげしかれとは祈らぬものを うかりける
65 恨みわびほさぬ袖だにあるものを 恋に朽ちなむ名こそ惜しけれ うらみわび
  5 奥山にもみじ踏みわけ鳴く鹿の 声きく時ぞ秋は悲しき おくやまに
72 音にきく高師の浜のあだ波は かけじや袖のぬれもこそすれ おとにきく
60 大江山いく野の道の遠ければ まだふみも見ず天の橋立 おおえやま
26 小倉山峰のもみじ葉心あらば いまひとたびのみゆき待たなむ おぐらやま
95 おほけなくうき世の民におほふかな わがたつ杣にすみぞめのそで おほけなく
82 思ひわびさても命はあるものを 憂きにたへぬは涙なりけり おもひわび
  51 かくとだにえやはいぶきのさしも草 さしも知らじな燃ゆる思ひを かくとだに
6 かささぎの渡せる橋に置く霜の 白きを見れば夜ぞふけにける かささぎの
98 風そよぐならの小川の夕暮れは みそぎぞ夏のしるしなりける かぜそよぐ
48 風をいたみ岩うつ波のおのれのみ くだけて物を思ふころかな かぜをいたみ
  15 君がため春の野に出でて若菜つむ わが衣手に雪は降りつつ きみがためは
50 君がためをしからざりし命さえ ながくもがなと思ひけるかな きみがためを
91 きりぎりす鳴くや霜夜のさむしろに 衣かたしきひとりかも寝む きりぎりす
  29 心あてに折らばや折らむ初霜の おきまどはせる白菊の花 こころあてに
68 心にもあらで憂世にながらへば 恋しかるべき夜半の月かな こころにも
97 来ぬ人をまつほの浦の夕なぎに 焼くやもしほの身もこがれつつ こぬひとを
24 このたびはぬさもとりあへず手向山 もみぢの錦神のまにまに このたびは
41 恋すてふわが名はまだき立ちにけり 人知れずこそ思ひそめしか こいすてふ
10 これやこの行くも帰るも別れては 知るも知らぬも逢坂の関 これやこの
  70 さびしさに宿を立ち出でてながむれば いづこも同じ秋の夕暮れ さびしさに
  40 忍ぶれど色に出でにけりわが恋は 物や思ふと人の問ふまで しのぶれど
37 白露に風の吹きしく秋の野は つらぬきとめぬ玉ぞ散りける しらつゆに
  18 住の江の岸による波よるさへや 夢の通ひ路人めよくらむ すみのえの
  77 瀬をはやみ岩にせかるる滝川の われても末にあわむとぞ思ふ せをはやみ
  73 高砂の尾の上の桜咲きにけり 外山の霞立たずもあらなむ たかさごの
55 滝の音は耐えて久しくなりぬれど 名こそ流れてなほ聞こえけれ たきのおとは
4 田子の浦にうち出でて見れば白妙の 富士の高嶺に雪は振りつつ たごのうらに
16 立ち別れいなばの山の峰におふる まつとし聞かば今帰り来む たちわかれ
89 玉の緒よ絶えねば絶えねながらへば 忍ぶることの弱りもぞする たまのおよ
34 誰をかもしる人にせむ高砂の 松も昔の友ならなくに たれをかも
  75 ちぎりおきしさせもが露を命にて あはれ今年の秋もいぬめり ちぎりおきし
42 契りきなかたみに袖をしぼりつつ 末の松山波超さじとは ちぎりきな
17 ちはやぶる神代も聞かず竜田川 からくれないに水くくるとは ちはやぶる
  23 月見ればちぢに物こそ悲しけれ わが身ひとつの秋にはあらねど つきみれば
13 筑波嶺の峰より落つるみなの川 恋ぞつもりて淵となりぬる つくばねの
  80 ながからむ心も知らず黒髪の みだれて今朝はものをこそ思へ ながからむ
84 ながらえばまたこのごろやしのばれん 憂しと見し世ぞいまはこいしき ながらへば
53 嘆きつつ独りぬる夜の明くる間は いかに久しきものとかは知る なげきつつ
86 嘆けとて月やは物を思はする かこち顔なるわが涙かな なげけとて
36 夏の夜はまだ宵ながら明けぬるを 雲のいづこに月宿るらむ なつのよは
25 名にしおはば逢坂山のさねかづら 人に知られでくるよしもがな なにしおはば
88 難波江の葦のかりねのひとよゆゑ みをつくしてや恋ひわたるべき なにわえの
19 難波潟短き葦のふしの間も 逢はでこの世を過ぐしてよとや なにわがた
  96 花さそふ嵐の庭の雪ならで ふりゆくものはわが身なりけり はなさそふ
9 花の色はうつりにけりないたづらに 我が身世にふる眺めせし間に はなのいろは
2 春すぎて夏来にけらし白妙の 衣ほすてふ天の香具山 はるすぎて
67 春の夜の夢ばかりなる手枕に かひなく立たむ名こそ惜しけれ はるのよの
  33 ひさかたの光のどけき春の日に しづ心なく花の散るらむ ひさかたの
35 人はいさ心も知らずふるさとは 花ぞ昔の香ににほひける ひとはいさ
99 人もをし人も恨めしあぢきなく 世を思ふゆえに物思ふ身は ひともをし
  22 吹くからに秋の草木のしをるれば むべ山風をあらしといふらむ ふくからに
  81 ほととぎす鳴きつる方をながむれば ただありあけの月ぞ残れる ほととぎす
  49 みかきもり衛士のたく火の夜は燃え 昼は消えつつ物をこそ思へ みかきもり
27 みかの原わきて流るるいづみ川 いつ見きとてか恋しかるらむ みかのはら
90 見せばやな雄島のあまの袖だにも ぬれにぞぬれし色は変はらず みせばやな
14 みちのくのしのぶもぢずり誰ゆえに 乱れそめにし我ならなくに みちのくの
94 み吉野の山の秋風さ夜ふけて ふるさと寒く衣打つなり みよしのの
  87 村雨の露もまだひぬまきの葉に 霧たちのぼる秋の夕暮れ むらさめの
  57 めぐりあひて見しやそれともわかぬまに 雲がくれにし夜半の月かな めぐりあひて
  100 百敷やふるき軒端のしのぶにも なほあまりある昔なりけり ももしきや
66 もろともにあはれと思へ山ざくら 花よりほかに知る人もなし もろともに
  59 やすらはで寝なましものを小夜ふけて かたぶくまでの月を見しかな やすらはで
47 八重むぐら茂れる宿のさびしきに 人こそ見えね秋は来にけり やへむぐら
32 山川に風のかけたるしがらみは 流れもあへぬもみぢなりけり やまかわに
28 山里は冬ぞさびしさまさりける 人目も草もかれぬと思へば やまざとは
  71 夕されば門田の稲葉おとづれて 葦のまろやに秋風ぞふく ゆうされば
46 由良の門をわたる舟人かぢをたえ ゆくへも知らぬ恋の道かな ゆらのとを
  93 世の中は常にもがもな渚こぐ あまの小舟の綱手かなしも よのなかは
83 世の中よ道こそなけれ思い入る 山の奥にも鹿ぞ鳴くなる よのなかよ
85 夜もすがらもの思ふころは明けやらで ねやのひまさへつれなかりけり よもすがら
62 夜をこめて鳥のそら音ははかるとも よに逢坂の関は許さじ よをこめて
  8 わが庵は都のたつみしかぞ住む 世をうぢ山と人はいふなり わがいおは
92 わが袖は潮干にみえぬ沖の石の 人こそ知らねかわく間もなし わがそでは
38 忘らるる身をば思はず誓ひてし 人の命の惜しくもあるかな わすらるる
54 忘れじの行く末まではかたければ 今日を限りの命ともがな わすれじの
76 わたの原こぎ出でて見ればひさかたの 雲居にまがふ沖つ白波 わたのはらこ
11 わたの原八十島かけてこぎ出でぬと 人には告げよあまの釣舟 わたのはらや
20 わびぬればいまはた同じ難波なる みをつくしても逢はむとぞ思ふ わびぬれば

 

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2024年大河ドラマ『光る君へ』× 百人一首

2024年大河ドラマ『光る君へ』 × 百人一首

・紫式部(吉高 由里子さん)
57「めぐりあひて見しやそれともわかぬまに 雲がくれにし夜半の月かな

 

・清少納言(ファーストサマーウィカさん)
62「夜をこめて鳥のそら音ははかるとも よに逢坂の関は許さじ

 

・和泉式部(泉 里香さん)
56「あらざらむこの世のほかの思ひ出に 今一たびの逢ふこともがな

 

・大納言公任(藤原公任)(町田 啓太さん)
55「滝の音は耐えて久しくなりぬれど 名こそ流れてなほ聞こえけれ

 

・赤染衛門(凰稀(おうき)かなめさん)
59「やすらはで寝なましものを小夜ふけて かたぶくまでの月を見しかな

 

・儀同三司母(板谷 由夏さん)
54「忘れじの行く末まではかたければ 今日を限りの命ともがな

 

・右大将道綱母(財前 直見さん)
53「 嘆きつつ独りぬる夜の明くる間は いかに久しきものとかは知る

 

・大弐三位(藤原 賢子)(南 沙良さん)
58「有馬山いなの笹原風吹けば いでそよ人をわすれやはする

 

・三条院(居貞(いやさだ)親王)(木村 達成さん)
68「心にもあらで憂世にながらへば 恋しかるべき夜半の月かな

 

・左京大夫道雅(藤原 道雅)(福崎 那由他さん)
63「今はただ思ひたえなむとばかりを 人づてならでいふよしもがな

 

・清原元輔(大森 博史さん)
42「契りきなかたみに袖をしぼりつつ 末の松山波超さじとは

 

 

第2回
・藤原兼輔(27
「人の親の心は闇にあらねども子を思ふ道に惑ひぬるかな」

(訳)子を持つ親の心は闇というわけではないが、子どものことになると道に迷ったようにうろたえるものです。

 

 

 

百人一首と勅撰和歌集10冊

勅撰和歌集について

・「勅撰(ちょくせん)和歌集」とは、天皇や上皇の命によりまとめられた公式の和歌集のこと。

・百人一首はそれまでの勅撰和歌集10冊の中から選ばれている。

・飛鳥時代の天智天皇から鎌倉時代の順徳院まで、約600年の間に歌われた名歌が収められている。

・百人一首には『古今和歌集』から選ばれた歌が一番多く、24首選ばれている。

平安前期 905 01 古今和歌集 (24) こきん
951 02 後撰和歌集 (7) ごせん
平安中期 1005 03 拾遺和歌集 (11) しゅうい
1086 04 後拾遺和歌集 (14) ごしゅうい
平安後期 1127 05 金葉和歌集 (5) きんよう
1151 06 詩歌和歌集 (5) しか
平安末期 1187 07 千載和歌集 (14) せんざい
鎌倉時代 1205 08 新古今和歌集 (14) しんこきん
1235 09 新勅撰和歌集 (4) しんちょくせん
1251 10 続後撰和歌集 (2) しょくごせん

 

 

百人一首・同じフレーズ

百人一首・同じフレーズ


・わが衣手~つつ

(1) 秋の田の仮庵の庵の苫をあらみ わが衣手は露にぬれつつ

(15)君がため春の野に出でて若菜つむ わが衣手に雪は降りつつ


・ひとりかも寝む

(3)あしびきの山鳥の尾のしだり尾の 長々し夜をひとりかも寝む

(91)きりぎりす鳴くや霜夜のさむしろに 衣かたしきひとりかも寝む


・心も知らず

(35)人はいさ心も知らずふるさとは 花ぞ昔の香ににほひける

(80) ながからむ心も知らず黒髪の みだれて今朝はものをこそ思へ


・ものをこそ思へ

(49)みかきもり衛士のたく火の夜は燃え 昼は消えつつものをこそ思へ

(80) ながからむ心も知らず黒髪の みだれて今朝はものをこそ思へ


・夜半の月かな

57. めぐりあひて 見しやそれとも わかぬまに 雲がくれにし 夜半の月かな / 紫式部

68. 心にも あらで憂世に ながらへば 恋しかるべき 夜半の月かな / 三条院


・さ夜ふけて

59. やすらはで 寝なましものを さ夜ふけて かたぶくまでの 月を見しかな / 赤染衛門

94. み吉野の 山の秋風 さ夜ふけて ふるさと寒く 衣打つなり / 参議雅経


・名こそおしけれ

65. 恨みわび ほさぬ袖だに あるものを 恋に朽ちなむ 名こそ惜しけれ / 相模

67. 春の夜の 夢ばかりなる 手枕に かひなく立たむ 名こそ惜しけれ / 周防内侍


・秋の夕暮れ

70. さびしさに 宿を立ち出でて ながむれば いづこも同じ 秋の夕暮れ / 良暹法師

87. 村雨の 露もまだひぬ まきの葉に 霧たちのぼる 秋の夕暮れ / 寂蓮法師

 

 

1. 秋の田の 仮庵の庵の 苫をあらみ わが衣手は 露にぬれつつ / 天智天皇

1. 秋の田の 仮庵の庵の 苫をあらみ わが衣手は 露にぬれつつ / 天智天皇

(読み)あきのたの かりほのいおの とまをあらみ わがころもでは つゆにぬれつつ / てんじてんのう

(訳)秋の田の仮小屋の屋根の編み方が粗いので、袖が夜露に濡れ続けている。


(語句)
・かりほ・・仮庵(かりいお)、仮に作った粗末な小屋

・〇〇を~み・・〇〇が~なので。理由。
苫をあらみ⇒苫が粗いので

・衣手(ころもで)・・そで

・つつ・・反復、継続の接続助詞。


(解説)
・秋の借り入れは年間で一番大切な行事。農民の辛苦を思いやる天皇の慈悲深さを表すとも言われている。

しかしこの歌は天皇本人ではなく、元は農民の歌とも言われている。万葉集の作者不明歌で「秋田刈る 仮庵を作り 我が居れば 衣手寒く 霜そ置きにける」が元の歌。

晩秋のわびしい静寂さを美と捉えた歌。言外に静寂な余情を持っているとして定家はこの歌を「幽玄体」の例としてあげた。

・平安京を開いた50代桓武天皇は天智天皇系の直系の流れ。そのため天智天皇は平安時代の歴史を語るうえで外せない存在として一番に配置されたと考えられる。


(作者)38代天智天皇(626-672・享年46)中大兄皇子。『万葉集』を代表する歌人の1人。

父は34代舒明天皇、母は35代皇極(37斉明)天皇。

大化の改新をすすめ、中央集権の国家を作った。近江令の制定、戸籍づくり、水時計など。

近江神宮は天智天皇が祀られているため「競技かるたの殿堂」となっている。

・『万葉集』天智天皇の歌
香具山(かぐやま)は畝傍(うねび)を愛(を)しと 耳梨(みみなし)と 相(あひ)あらそひき 神世(かみよ)より かくにあるらし

古昔(いにしへ)も然(しか)にあれこそ うつせみも 嬬(つま)をあらそふらしき

(訳:香具山は畝傍山を妻にしようとして耳梨山と争った。神代からそうであった。昔からそうだったからいまでも妻を奪い争っている。)

 

 

2. 春すぎて 夏来にけらし 白妙の 衣ほすてふ 天の香具山 / 持統天皇

2. 春すぎて 夏来にけらし 白妙の 衣ほすてふ 天の香具山 / 持統天皇

(読み)はるすぎて なつきにけらし しろたえの ころもほすちょう あまのかぐやま / じとうてんのう

(訳)春が過ぎていつのまにか夏が来たらしい。天の香具山に真っ白な衣が干してあるのだから。


(語句)
・夏来にけらし・・「ける」+「らし」(推定)

※「らし」は「客観的な事実」に基づいた推定。「①客観的な事実」があって+「②だから~らしい」と推定する。この歌は倒置法で「②~らしい」+「①だって~(事実)だから」となっている。

→夏来にけらし 白妙の衣干すちょう・・夏が来たらしい。だって白い衣が干している(事実)から

・「白妙の」・・「衣」にかかる枕詞。白い布。「白妙の」は他に雪、雲、袖、ひもなどにかかる。

・「てふ(ちょう)」・・「といふ」が詰まったもの


(解説)
・さわやかな夏の情景と伝説の山の神秘性を感じる歌。

・「万葉集」では「春過ぎて夏来たるらし白妙の 衣干したり天の香久山」となっている。

万葉集の方は「干したり」で目の前のことを歌っているが、「新古今集」の「干すてふ(干すといふ)」では、「干すと伝えられている」と、天の香具山の伝承を取り込むような形になっている。

・天上から降りてきたという神話的な伝説から「天の(あまの)」を冠する。


(作者)持統天皇:40代目天皇。天智天皇(1「秋の田の」)の第二皇女(おうじょ・ひめみこ・こうじょ)。天武天皇の皇后。都を飛鳥から藤原の地へ移す。日本最古の都、藤原京を開いた。

 

天の香具山は、神の住む山とされている。現在の奈良県橿原市。

「大和三山」は「香具山(かぐやま)」、「畝傍山(うねびやま)」、「耳成山(みみなしやま)」の三つ。信仰の対象とされていた。

藤原京条坊

引用:Wikipedia大和三山

藤原宮から見て左手に「天の香具山」が見えたと思われる。後ろに耳成山、右手に畝傍山。