04後拾遺和歌集 – 百人一首note

73. 高砂の 尾の上の桜 咲きにけり 外山の霞 立たずもあらなむ / 前中納言匡房

73. 高砂の 尾の上の桜 咲きにけり 外山の霞 立たずもあらなむ / 前中納言匡房

(読み)
たかさごの おのえのさくら さきにけり とやまのかすみ たたずもあらなん(さきのちゅうなごんまさふさ)

(訳)
高い山の峯(頂き)に桜が咲いた。里山のかすみよ、どうか立たないでおくれ、あの桜が隠れてしまうから。

(語句)
・高砂・・山

・尾の上(おのえ)・・頂上

(解説)
・内大臣、藤原師通(もろみち)の別荘での宴で詠まれた。

・景色に奥行きを感じるのは、中国の詩や水墨画で見られる表現で、漢学者である大江匡房ならではの作品。

(出典)
04『後拾遺和歌集』


(作者)
前中納言匡房(さきのちゅうなごんまさふさ)。大江匡房(おおえのまさふさ)。(1041~1111)

・漢学者。後三条・白河・堀河3代の天皇に仕えた。

・『江談抄(ごうだんしょう)』(漢文体の説話集)の作者。

・大江匡衡(まさひら)と赤染衛門(59)のひ孫。大江広元(ひろもと)の曾祖父にあたる。

大江広元は、鎌倉幕府・源頼朝の側近。公文所(→政所)の別当。(石ノ森日本史 8巻p133)

大江匡衡(まさひら)=赤染衛門





大江匡房(まさふさ)73「たかさごの」





大江広元(ひろもと)源頼朝の側近。公文所(→政所)別当。




毛利元就(もうりもとなり)

 


(品詞)
高砂
名詞


助詞・格助詞

尾の上
名詞


助詞・格助詞


名詞

咲き
動詞「咲く」カ四(連用)
(か//く/く/け/け)


助動詞「ぬ」完了(連用)
連用形接続・ナ変型
(な//ぬ/ぬる/ぬれ/ね)

けり
助動詞「けり」詠嘆(終止)
連用形接続・ラ変型
(けら/〇/けり/ける/けれ/〇)

外山
名詞


助詞・格助詞


名詞

立た
動詞「立つ」タ四(未然)
/ち/つ/つ/て/て)


助動詞「ず」打消(連用)
未然形接続・特殊型
(〇//ず/ぬ/ね/〇)
(ざら/ざり/〇/ざる/ざれ/ざれ)


助詞・係助詞

あら
動詞「あり」ラ変(未然)
/り/り/る/れ/れ)

なむ
助詞・終助詞

 

(活用語)
高砂の 尾の上の桜 咲き に けり 外山の霞 立た ずあらなむ

[動詞]
・咲く
・立つ
・あり

[助動詞]
・に・・「ぬ」完了
・けり・・「けり」詠嘆
・ず・・「ず」打消

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70. さびしさに 宿を立ち出でて ながむれば いづこも同じ 秋の夕暮れ / 良暹法師

70. さびしさに 宿を立ち出でて ながむれば いづこも同じ 秋の夕暮れ / 良暹法師

(読み)
さびしさに やどをたちいでて ながむれば いづこもおなじ あきのゆうぐれ(りょうぜんほうし)

(訳)
さびしさにたえかねて、家を出てあたりを眺めていると、どこも同じようにさびしい秋の夕暮れが広がっています。

(語句)
・宿(やど)・・旅館ではなく僧が住む粗末な家(庵・いおり)

(解説)
・「秋の夕暮れ」は『新古今和歌集』の時代に流行した表現。「秋の夕暮れはさびしいもの」という印象が定着した。

(出典)
04『後拾遺和歌集』


(作者)
良暹法師(りょうぜんほうし)。(11C前半)

・比叡山の延暦寺の僧。後朱雀、後冷泉天皇の頃の人。晩年は京都・大原の里や雲林院(うりんいん)に暮らす。

「三夕(さんせき)の歌」・・『新古今集』
・「寂しさは その色としも なかりけり 槙立つ山の 秋の夕暮れ」寂蓮(87
・「心なき 身にもあはれは 知られけり 鴫立つ沢の 秋の夕暮れ」西行(86
・「見渡せば 花も紅葉も なかりけり 浦の苫屋の 秋の夕暮れ」藤原定家(97


(品詞)
さびしさ
名詞


助詞・格助詞

宿
名詞


助詞・格助詞

立ち出で
動詞「立ち出づ」ダ下二(連用)
(で//づ/づる/づれ/でよ)


助詞・接続助詞

ながむれ
動詞「ながむ」マ下二(已然)
(め/め/む/むる/むれ/めよ)


助詞・接続助詞

いづこ
代名詞


助詞・係助詞

同じ
形容詞・シク活用(連体・特殊)
本活用(〇/じく/じ/じき or /じけれ/〇)
補助活用(助動詞)
(じから/じかり/〇/じかる/〇/じかれ)


名詞


助詞・格助詞

夕暮れ
名詞

 

(活用語)
さびしさに 宿を立ち出でながむれば いづこも同じ 秋の夕暮れ

[動詞]
・立ち出づ
・ながむ

[形容詞]
・同じ

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69. 嵐吹く 三室の山の もみぢ葉は 竜田の川の 錦なりけり / 能因法師

69. 嵐吹く 三室の山の もみぢ葉は 竜田の川の 錦なりけり / 能因法師

(読み)
あらしふく みむろのやまの もみじばは たつたのかわの にしきなりけり(のういんほうし)

(訳)
嵐が吹いて散らした奈良の三室山のもみじ葉が、龍田川の水面を覆いつくしてまるで錦織のように見事な風景だ。

(語句)
・三室の山・・奈良にある紅葉の名所
・龍田の川・・三室山の東を流れる川。紅葉の名所。
・錦なりけり・・錦の織物のようである。「錦」は金や銀の糸などを用いた豪華な織物。

(出典)
04『後拾遺和歌集』


(作者)
能因法師(のういんほうし)。橘永愷(たちばなのながやす)。(988-1050)

・26才のころ恋人を亡くした悲しみで出家。全国を旅しながら歌を詠み、歌枕(歌に詠まれる地名)をまとめた『能因歌枕(のういんうたまくら)』を著す。

・「数寄者(すきしゃ)」とは、あることを好み、それに打ち込む人を指すが、和歌に異様に執念を燃やす人もこう呼ぶ。能因はその典型であった。


(品詞)

名詞

吹く
動詞「吹く」カ四(連体)
(か/き/く//け/け)

三室の山
固有名詞


助詞・格助詞

もみぢ葉
名詞


助詞・係助詞

竜田の川
固有名詞


助詞・格助詞


名詞

なり
助動詞「なり」断定(連用)
連体形接続・形容動詞型
(なら/なり or に/なり/なる/なれ/なれ)

けり
助動詞「けり」詠嘆(終止)
連用形接続・ラ変型
(けら/〇/けり/ける/けれ/〇)

 

(活用語)
吹く 三室の山の もみぢ葉は 竜田の川の 錦なり けり

[動詞]
・吹く

[助動詞]
・なり・・「なり」(断定)
・けり・・「けり」(詠嘆)

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68. 心にも あらで憂世に ながらへば 恋しかるべき 夜半の月かな / 三条院

68. 心にも あらで憂世に ながらへば 恋しかるべき 夜半の月かな / 三条院

(読み)
こころにも あらでうきよに ながらえば こいしかるべき よわのつきかな(さんじょういん)

(訳)
心ならずもこのはかない現世で生きながらえていたならば、きっと恋しく思い出されるに違いない、この夜更けの月のことを。

(語句)
・心にもあらで・・心ならずも
・うき世・・「憂き世」でつらい世のこと
・恋しかるべき・・きっと恋しく思われることだろう

(解説)
・三条院(さんじょういん)は、目を患ったことを理由に退位を迫られた。

・「夜半の月かな」は57「めぐりあいて」の最後とも同じ。


(作者)
三条院(さんじょういん)。(976-1017)

・三条天皇(67代)。冷泉天皇(63代)の皇子。25年の長い東宮時代を経て即位。

・宮中の二度の火事と目の病気を理由に、藤原道長の圧力で5年で退位させられ、道長の孫である後一条天皇(68代)に位を譲った。


(品詞)

名詞


助動詞「なり」断定(連用)
連体形接続・形容動詞型
(なら/なり or /なり/なる/なれ/なれ)


助詞・係助詞

あら
動詞「あり」ラ変(未然)
/り/り/る/れ/れ)


助詞・接続助詞

うき世
名詞


助詞・格助詞

ながらへ
動詞「ながらふ」ハ下二(未然)
/へ/ふ/ふる/ふれ/へよ)


助詞・接続助詞

恋しかる
形容詞「恋し」シク活用(連体)
本活用・・(〇/しく/し/しき/しけれ/〇)
補助活用(助動詞)・・(しから/しかり/〇/しかる/〇/しかれ)

べき
助動詞「べし」推量(連体)
終止形接続(ラ変は連体形接続)・形容詞形
– 本活用(〇/べく/べし/べき/べけれ/〇)
– 補助活用(助動詞)
(べから/べかり/べし/べかる/べけれ/〇)

夜半
名詞


助詞・格助詞


名詞

かな
助詞・終助詞

 

(活用語)
心にも あらで憂世に ながらへ 恋しかるべき 夜半の月かな

[動詞]
・あり
・ながらふ

[形容詞]
・恋し

[助動詞]
・べき・・「べし」推量

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65. 恨みわび ほさぬ袖だに あるものを 恋に朽ちなむ 名こそ惜しけれ / 相模

(ハナニラ 花言葉:悲しい別れ)

65. 恨みわび ほさぬ袖だに あるものを 恋に朽ちなむ 名こそ惜しけれ / 相模

(読み)
うらみわび ほさぬそでだに あるものを こいにくちなむ なこそおしけれ(さがみ)

(訳)
あなたを恨み、涙でかわく間もなく着物の袖が朽ちるのも悔しいのに、恋の噂のために私の評判まで落ちてしまうのが悔しくてなりません。

(語句)
・恨みわび・・恨むのも疲れてしまった。
「~わぶ」は、動詞の連用形に付いて、その気力も失うの意味。

・ほさぬ袖だに あるものを・・涙の乾く間もない袖が朽ちるのさえ悔しいのに。

(出典)
04『後拾遺和歌集』


(作者)
相模(さがみ)。(998-1068)

・脩子内親王家(一条帝の皇女)に出仕し、宮廷歌人として活躍。紫式部、和泉式部らと並び称された。相模守大江公資(きんすけ)の妻。

・50代半ばで出席した歌合わせで詠まれた。それまでの恋愛経験を踏まえて詠んだ歌とされる。

・父は源頼光で大江山の酒吞童子(しゅてんどうじ)を退治した伝説を持つ。


(品詞)
恨みわび
動詞「恨みわぶ」バ上二(連用)
(び//ぶ/ぶる/ぶれ/びよ)

ほさ
動詞「ほす」サ四(未然)
/し/す/す/せ/せ)


助動詞「ず」打消(連体)
本活用(〇/ず/ず//ね/〇)
補助活用(助動詞)・・(ざら/ざり/〇/ざる/ざれ/ざれ)


名詞

だに
助詞・副助詞

ある
動詞「あり」ラ変(連体)
(ら/り/り//れ/れ)

ものを
助詞・接続助詞


名詞


助詞・格助詞

朽ち
動詞「朽つ(くつ)」タ上二(連用)
(ち//つ/つる/つれ/ちよ)


助動詞「ぬ」強意(未然)
/に/ぬ/ぬる/ぬれ/ね)


助動詞「推量」(連体)
(〇/〇/む//め/〇)
未然形接続・四段型


名詞

こそ
助動詞・係助詞

惜しけれ
形容詞・シク活用(已然)
– 本活用(〇/しく/し/しき/しけれ/〇)
– 補助活用(助動詞)
(しから/しかり/〇/しかる/〇/しかれ)

 

(活用語)
恨みわび ほさ ぬ 袖だに あるものを 恋に朽ち な む 名こそ惜しけれ

[動詞]
・恨みわぶ
・ほす
・あり

[形容詞]
・惜し

[助動詞]
・ぬ・・「ず」
・な・・「ぬ」
・む・・「む」

 

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63. 今はただ 思ひたえなむ とばかりを 人づてならで いふよしもがな / 左京大夫道雅

 (アネモネ 花言葉:恋の苦しみ)

63. 今はただ 思ひたえなむ とばかりを 人づてならで いふよしもがな / 左京大夫道雅

(読み)
いまはただ おもいたえなん とばかりを ひとづてならで いうよしもがな(さきょうのだいぶみちまさ)

(訳)
今となってはただ「あなたを諦めます」ということだけを、人づてではなく直接お会いして言いたいのです。

(語句)
・思い絶えなむ・・思いを断ち切ろう
・人づてならで・・人づてではなく。「で」は打消。
・いふよしもがな・・いふ方法があればいいのに。「もがな」は願望を表す。

(解説)
・三条院の皇女・当子内親王(とうしないしんのう)へ思いを寄せていたが、反対されて仲を引き裂かれてしまった。

(出典)
04『後拾遺和歌集』


(作者)
左京大夫道雅(さきょうのだいぶみちまさ)。藤原道雅(ふじわらのみちまさ)。(992-1054)

・失脚した藤原伊周(これちか)の息子。祖母は儀同三司母(54「忘れじの」)。のちに荒三位と呼ばれた。


(品詞)

名詞


助詞・係助詞

ただ
副詞

思ひたえ
動詞「思ひたゆ」ヤ下二(連用)
(え//ゆ/ゆる/ゆれ/えよ)


助動詞「ぬ」強意(未然)
連用形接続・ナ変型
/に/ぬ/ぬる/ぬれ/ね)


助動詞「む」意志(終止)
未然形接続・四段型
(〇/〇//む/め/〇)


助詞・格助詞

ばかり
助詞・副助詞


助詞・格助詞

人づて
名詞

なら
助動詞「なり」断定(未然)
連体形接続・形容動詞型
なら/なり or に/なり/なる/なれ/なれ)


助詞・接続助詞

いふ
動詞「いふ」ハ四(連体)
(は/ひ/ふ//へ/へ)

よし
名詞

もがな
助詞・終助詞

 

(活用語)
今はただ 思ひたえ な む とばかりを 人づてならで いふよしもがな

[動詞]
・思ひたゆ
・いふ

[助動詞]
・な・・「ぬ」強意
・む・・「む」推量

 

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62. 夜をこめて 鳥のそら音は はかるとも よに逢坂の 関はゆるさじ / 清少納言

(「逢坂の関」石碑)

62. 夜をこめて 鳥のそら音は はかるとも よに逢坂の 関はゆるさじ / 清少納言

(読み)
よをこめて とりのそらねは はかるとも よにおうさかの せきはゆるさじ(せいしょうなごん)

(訳)
深夜ににわとりの鳴き声をして騙そうとしても、函谷関はともかく、逢坂の関は許しませんよ。ですから私に会いにくるのも許しません。

(語句)
・夜をこめて・・夜がまだ明けないうちに。「こむ」は中にしまう、つつみこむの意。

・とりのそらね・・にわとりの鳴きまね

・よに~じ・・決して~ない。

(掛詞)
・逢坂(あふさか)
・会ふ

(解説)
・中国の函谷関(かんこくかん)の孟嘗君の話を取り入れた。

・先に帰った藤原行成からのおわびの手紙に対して返した歌。

(出典)
04『後拾遺和歌集』


(作者)
清少納言(せいしょうなごん)。(966頃~1027頃)

・『枕草子』の作者。一条天皇の中宮、定子(ていし)に仕えた。

・曾祖父は清原深養父(36「夏の夜は」)、父は清原元輔(42「契りきな」)。


(品詞)


名詞


助詞・格助詞

こめ
動詞「こめる」マ下二(連用)
(め//む/むる/むれ/めよ)


助詞・接続助詞


名詞


助詞・格助詞

そら音
名詞


助詞・係助詞

はかる
動詞「はかる」ラ四(終止)
(ら/り//る/れ/れ)

とも
助詞・接続助詞(逆接)

よに
副詞

逢坂の関
(掛詞)
(1)逢坂・・固有名詞
(2)逢ふ・・動詞「逢ふ」ハ四
(は/ひ/ふ/ふ/へ/へ)


助詞・係助詞

ゆるさ
動詞「ゆるす」サ四(未然)
/し/す/す/せ/せ)


助動詞「じ」打消意志(終止)
未然形接続・特殊型
(〇/〇//じ/じ/〇)
「~しない」

 

(活用語)

夜をこめて 鳥のそら音は はかるとも よに逢坂の 関は許さじ

[動詞]
・こめる
・はかる

[助動詞]
・じ・・「じ」打消意志

 

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59. やすらはで 寝なましものを 小夜ふけて かたぶくまでの 月を見しかな / 赤染衛門

59. やすらはで 寝なましものを 小夜ふけて かたぶくまでの 月を見しかな / 赤染衛門

やすらわで ねなましものを さよふけて かたぶくまでの つきをみしかな(あかぞめえもん)

(訳)
あなたが来ないと分かっていたら、ためらうことなく寝てしまったのに。あなたを待っているうちに夜がふけて西の空にかたむいて沈んでいく月をみたことです。

(語句)
・やすらはで・・ためらわないで。「やすらふ」は「ためらう」の意味。「で」は打消。

・「まし」は反実仮想。「もし~なら~なのに。」

(解説)
・蔵人少将(くろうどのしょうしょう)藤原道隆に恋した妹の代わりに詠んだ歌。

(出典)
04『後拾遺和歌集』


(作者)
赤染衛門(あかぞめえもん)。(958~1041)

・父・赤染時用(ときもち)が衛門丞(えもんのじょう)のためこう呼ばれる。道長の妻・倫子(りんし)や、66代一条天皇の中宮・彰子(しょうし)に仕える。

・才女で優しい人柄であり、紫式部清少納言とも親しかったと言われる。『栄花物語』の作者。

・夫は学者の大江匡衡(おおえのまさひら)。


(品詞)

やすらは
動詞「やすらふ」ハ四(未然)
/ひ/ふ/ふ/へ/へ)


助詞・接続助詞(打消)

(ね)
動詞「寝(ぬ)」ナ下二(連用)
(ね//ぬ/ぬる/ぬれ/ねよ)


助動詞「ぬ」完了(未然)
連用形接続・ナ変型
/に/ぬ/ぬる/ぬれ/ね)
「~してしまった」

まし
助動詞「まし」反実仮想(連体)
(ませ or ましか/〇/まし/まし/ましか/〇)
未然形接続・特殊型
「もし~なら~だろうに」

ものを
助詞・接続助詞

さ夜
(接頭)名詞

ふけ
動詞「ふく(更く)」カ下二(連用)
(け//く/くる/くれ/けよ)


助詞・接続助詞

かたぶく
動詞「かたぶく」カ四(連体)
(か/き/く//け/け)

まで
助詞・副助詞


助詞・格助詞


名詞


助詞・格助詞


動詞「見る」マ上一(連用)
(み//みる/みる/みれ/みよ)


助動詞「き」過去(連体)
連用形接続・特殊型
(せ/〇/き//しか/〇)

かな
助詞・終助詞(詠嘆)

 

(活用語)

やすらは寝 な まし ものを 小夜ふけかたぶくまでの 月を かな

[動詞]
・やすらふ
・寝(ぬ)
・ふく
・かたぶく

[助動詞]
・な・・「ぬ」(完了)
・まし・・「まし」(反実仮想)
・・「き」(直接経験の過去)

 

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58. 有馬山 いなの笹原 風吹けば いでそよ人を わすれやはする / 大弐三位

58. 有馬山 いなの笹原 風吹けば いでそよ人を わすれやはする / 大弐三位

(読み)
ありまやま いなのささはら かぜふけば いでそよひとを わすれやはする(だいにのさんみ)

(訳)
有馬山から猪名の笹原に風が吹くと、笹の葉がそよそよと音を立てます。そうよ、そうよ、どうして私があなたを忘れるでしょうか。

(語句)
・有馬山・・摂津国(せっつのくに)・有馬郡にある山。
・ゐなの笹原・・摂津国を流れる猪名川周辺の笹原。
・いでそよ・・さあ、そうよ。
・忘れやはする・・忘れるでしょうか、いいえ、忘れないでしょう。
「やは」は「反語」

(掛詞)
そよ
・「そうよ」
・葉音の「そよそよ」

(係り結び)
やは→する(連体)

(出典)
04『後拾遺和歌集』


(作者)
大弐三位(だいにのさんみ)。藤原賢子(かたこ)。(999~)

・母は紫式部(57「めぐりあいて」)。70代後冷泉天皇の乳母となり、従三位(じゅさんみ)に除せられた。


(品詞)
有馬山
固有名詞

いな
固有名詞


助詞・格助詞

笹原
名詞


名詞

吹け
動詞「吹く」カ四(已然)
(か/き/く/く//け)


助詞・接続助詞

いで
副詞


代名詞


助詞・終助詞


名詞


助詞・格助詞

わすれ
動詞「わする」ラ下二(連用)
(れ//る/るる/るれ/れよ)

やは
助詞・係助詞

する
動詞「す」サ変(連体)
(せ/し/す/する/すれ/せよ)

(活用語)
有馬山 いなの笹原 風吹けば いでそよ人を わすれやはする

[動詞]
・吹く
・わする

 

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56. あらざらむ この世のほかの 思ひ出に 今ひとたびの 逢ふこともがな / 和泉式部

56. あらざらむ この世のほかの 思ひ出に 今ひとたびの 逢ふこともがな / 和泉式部

(読み)
あらざらん このよのほかの おもいでに いまひとたびの おうこともがな(いずみしきぶ)

(訳)
私はもうすぐこの世を去るでしょう。あの世への思い出にせめて今一度お会いしたいものです。

(語句)
・あらざらむ・・いなくなってしまうだろう。死んでしまうだろう。
・この世のほかの・・あの世
・逢ふこともがな・・会いたいものであるよ。「もがな」は願望。

(解説)
・最初の夫、橘道貞を思って詠んだ歌と言われる。

(出典)
04『後拾遺和歌集』


(作者)
和泉式部(いずみしきぶ)。(976~)

・大江雅致(まさむね)の娘。橘道貞(たちばなのみちさだ)と結婚。娘は小式部内侍(60「大江山」)。

・66代一条天皇の中宮・彰子(しょうし)に仕えた。

・恋多き女性と言われ、結婚していながら、63代冷泉天皇の皇子・為尊(ためたか)親王や、その弟の敦道親王とも愛し合ったと言われる。

・『和泉式部日記』は敦道親王の死を悼む歌が124首詠まれている。

・藤原保昌と再婚。

 


(品詞)

あら
動詞「あり」ラ変(未然)
/り/り/る/れ/れ)

ざら
助動詞「ず」打消(未然)
未然形接続・特殊型
本活用(〇/ず/ず/ぬ/ね/〇)
補助活用(助動詞)(ざら/ざり/〇/ざる/ざれ/ざれ)


助動詞「む」推量(連体)
未然形接続・四段型
(〇/〇/む//め/〇)


代名詞


助詞・格助詞


名詞


助詞・格助詞

ほか
名詞


助詞・格助詞

思ひ出
名詞


助詞・格助詞


副詞

ひとたび
名詞


助詞・格助詞

逢ふ
動詞「逢ふ」ハ四(連体)
(は/ひ/ふ//へ/へ)

こと
名詞

もがな
助詞・終助詞

 

(活用語)

あら ざら この世のほかの 思ひ出に 今ひとたびの 逢ふこともがな

[動詞]
・あり
・逢ふ

[助動詞]
・ざり
・む

 

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