84. ながらへば またこのごろや しのばれむ 憂しと見し世ぞ いまは恋しき / 藤原清輔朝臣
ながらえば またこのごろや しのばれん うしとみしよぞ いまはこいしき(ふじわらのきよすけあそん)
(訳)
生きながらえていたならば、辛い今のことも懐かしく思い出されるのだろうか。辛かった過去がいまは恋しく思うのだから。
(解説)
過去、現在、未来を見る諦観の歌。
諦観(ていかん):本質を明らかに見てとる。悟りの境地にあって物事をみること。
(作者)
藤原清輔朝臣(ふじわらきよすけのあそん)。
父・藤原顕輔(79「秋風に」)とは折り合いが悪く、出世できず苦しい日々を送る。
父より歌道の家、六条藤家(ろくじょうとうけ)を継ぎ、当時の歌壇の第一人者となる。歌学の大成者で『奥義抄(おうぎしょう)』『袋草紙(ふくろぞうし)』を著す。
(品詞)
・ながらへ
動詞「ながらふ」ハ下二(未然)
(へ/へ/ふ/ふる/ふれ/へよ)
・ば
助詞・接続助詞
仮定条件
・また
副詞
・このごろ
名詞
・や
助詞・係助詞
・しのば
動詞「しのぶ」バ四(未然)
(ば/び/ぶ/ぶ/べ/べ)
・れ
助動詞「る」自発(未然)
未然形接続・下二段型
(れ/れ/る/るる/るれ/れよ)
・む
助動詞「む」推量(連体)
未然形接続・四段型
(〇/〇/む/む/め〇)
・憂し
形容詞「憂し」ク活用(終止)
本活用・・(〇/く/し/き/けれ/〇)
補助活用(助動詞)(から/かり/〇/かる/〇/かれ)
・と
助詞・格助詞
・見
動詞「見る」マ上一(連用)
(み/み/みる/みる/みれ/みよ)
・し
助動詞「き」直接過去(連体)
連用形接続・特殊型
(せ/〇/き/し/しか/〇)
・世
名詞
・ぞ
助詞・係助詞
・いま
名詞
・は
助詞・係助詞
・恋しき
形容詞「恋し(こひし)」シク活用(連体)
– 本活用(〇/しく/し/しき/しけれ/〇)
– 補助活用(助動詞)
(しから/しかり/〇/しかる/〇/しかれ)
(活用語)
ながらへば またこのごろや しのば れ む 憂しと見 し 世ぞ いまは恋しき
[動詞]
・ながらふ
・しのぶ
・見る
[形容詞]
・憂し
・恋し
[助動詞]
・れ・・「る」自発
・む・・「む」推量
・し・・「き」直接過去
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