08新古今和歌集 – ページ 2 – 百人一首note

19. 難波潟 みじかき葦の ふしの間も 逢はでこの世を 過ぐしてよとや / 伊勢

19. 難波潟 みじかき葦の ふしの間も 逢はでこの世を 過ぐしてよとや / 伊勢

(読み)
なにわがた みじかきあしの ふしのまも あわでこのよを すぐしてよとや / いせ

(訳)
あなたに会わずに一人で過ごせというの。そんなの無理。葦のふしのような短い間でもあなたに会いたい。

(出典)
08 新古今和歌集


(作者)
伊勢(いせ)(877~938)

三十六歌仙の1人。父が伊勢守(三重県)。59代宇多天皇の中宮、温子に仕えた。

・歌集に『伊勢集』がある。

・この歌は藤原仲平に送った返歌とされる。(藤原仲平は、時の関白・藤原基経の次男。穏子(60代・醍醐天皇の中宮)の兄。)

(※藤原基経の子は、長男・時平(菅原道真を左遷)、次男・仲平(伊勢に18「難波潟」の歌をもらう)、三男・忠平(性格温厚)。三平ともいわれる。)

・伊勢は恋多き女性で、仲平の兄の藤原時平や、59代宇多天皇にも愛され、宇多天皇との間には皇子ももうけた。

・後に宇多天皇の第四皇子・敦慶(あつよし)親王と結婚。娘の中務(なかつかさ)も歌人。


(品詞)
難波潟
固有名詞

みじかき
形容詞「みじかし」ク活用(連体)
本活用(〇/く/し//けれ/〇)
補助活用(助動)(から/かり/〇/かる/〇/かれ)


名詞


助詞・格助詞

ふし
名詞


助詞・格助詞


名詞


助詞・係助詞

逢は
動詞「逢ふ」ハ四(未然)
/ひ/ふ/ふ/へ/へ)


助詞・接続助詞(逆接)


代名詞


助詞・格助詞


名詞


助詞・格助詞

過ぐし
動詞「過ぐす」サ四(連用)
(さ//す/す/せ/せ)

てよ
助動詞「つ」完了(命令)
連用形接続・下二段型
(て/て/つ/つる/つれ/てよ


助詞・格助詞


助詞・係助詞
(結びは省略)

(活用語)
難波潟 みじかき葦の ふしの間も 逢はでこの世を 過ぐし てよ とや

[動詞]
・逢ふ
・過ぐす

[形容詞]
・みじかし

[助動詞]
・てよ・・「つ」完了

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6. かささぎの 渡せる橋に 置く霜の 白きを見れば 夜ぞふけにける / 中納言家持

6. かささぎの 渡せる橋に 置く霜の 白きを見れば 夜ぞふけにける / 中納言家持

(読み)
かささぎの わたせるはしに おくしもの しろきをみれば よぞふけにける / ちゅうなごんやかもち

(訳)
かささぎがかけ渡したという天の川の橋のような宮中の御階(みはし・紫宸殿の階段)に、真っ白な霜が降りている。すっかり夜も更けてしまったなあ。

(解説)
・宮中は「天上」とも呼ばれるため、宮中の御殿に渡した「階段」と、「天の川にかけた橋」とをかけた。

・音的にも「階(はし)」と「橋」がかかっている。漢詩によく見られる「見立て」という技法。

・かささぎは黒と白の鳥。織姫と彦星が年に1回七夕に会うときに、天の川にかかって橋になると言われている。

かささぎ

星座・夏の大三角形。こと座ベガ(織姫)、わし座アルタイル(彦星)、はくちょう座デネブ(かささぎ)。

(出典)
08『新古今和歌集』


(作者)
中納言家持(ちゅうなごんやかもち)。大伴家持(おおとものやかもち)(718~785)。

・奈良時代末期。『万葉集』の歌人であり、『万葉集』をまとめた撰者でもある。三十六歌仙の一人。

・家持の父は大伴旅人(おおとものたびと)(酒の歌を多く残した。)

・大伴氏は武人として朝廷に仕えた名門で、歌の家柄でもある。


(品詞)
かささぎ
名詞


助詞・格助詞

渡せ
動詞「渡す」サ四(已然)
(さ/し/す/す//せ)


助動詞「り」存続(連体)
サ変未然形/四段已然形接続・ラ変型
(ら/り/り//れ/れ)


名詞


助詞・格助詞

置く
動詞「置く」(連体)
(か/き/く//け/け)


名詞


助詞・格助詞

白き
形容詞「白し」ク活用(連体)
本活用(〇/く/し//けれ/〇)
補助活用(助動詞)
(から/かり/〇/かる/〇/かれ)


助詞・格助詞

見れ
動詞「見る」ラ上一(已然)
(み/み/みる/みる/みれ/みよ)


助詞・接続助詞


名詞


助詞・係助詞

ふけ
動詞「ふく」カ下二(連用)
(け//く/くる/くれ/けよ)


助動詞「ぬ」完了(連用)
連用形接続・ナ変型
(な//ぬ/ぬる/ぬれ/ね)

ける
助動詞「けり」詠嘆(連体)
(けら/〇/けり/ける/けれ/〇)

 

(活用語)
かささぎの 渡せる橋に 置く霜の 白きを見れば 夜ぞふけにける

[動詞]
・渡す
・置く
・見る
・ふく

[形容詞]
・白し

[助動詞]
・に
・けり

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4. 田子の浦に うち出でて見れば 白妙の 富士の高嶺に 雪は振りつつ / 山辺赤人

4. 田子の浦に うち出でて見れば 白妙の 富士の高嶺に 雪は振りつつ / 山辺赤人

(読み)たごのうらに うちいでてみれば しろたえの ふじのたかねに ゆきはふりつつ / やまべのあかひと

(訳)田子の浦の海辺に出て、真っ白い富士山をあおぎ見ると、その高い峰に雪が降り続いている

(語句)
・「白妙の」は「富士」にかかる枕詞。「真っ白い」という意味。

・「降りつつ」は反復、継続。「(雪があとからあとからしきりに)降り続いている」の意味。実際には見えるわけではないので、枕詞の「白妙の」と合わせて幻想的な雰囲気が加味される。

(解説)
・万葉集では「田子の浦ゆ 打ち出でてみれば 真白にそ 富士の高嶺に 雪は降りける」。

平安時代はやわらかな語調が好まれたので詠み替えられた。万葉集の方は「実感的」で、百人一首の方は「観念的」で「幻想的」といえる。

・「田子の浦」は駿河国(静岡県)の海岸。(現在の静岡市清水区辺りか。現在の「田子の浦」は静岡県富士市辺り。場所は変わったが富士山の絶景スポット。)

(出典)
08『新古今和歌集』


(作者)
山辺赤人(やまべのあかひと)(8C半)
(万葉集では「山部」、百人一首では「山辺」)

・宮廷歌人。奈良時代、43元明天皇、44元正天皇、45聖武天皇の頃に活躍。

・自然を見て景色を詠むことが得意な叙景歌人。

三十六歌仙の一人。

・柿本人麻呂(3「あしびきの」)とともに「歌聖(かせい)」と呼ばれていた。

・大伴家持(6「かささぎの」)には「山柿(さんし)」と呼ばれ、尊敬されていた。


(品詞)
田子の浦
固有名詞


助詞・格助詞

うち出で
動詞「打ち出づ」ダ下二(連用)
(で//づ/づる/づれ/でよ)


助詞・接続助詞

見れ
動詞「見る」マ上一(已然)
(み/み/みる/みる/みれ/みよ)


助詞・接続助詞

白妙
名詞


助詞・格助詞

富士
名詞


助詞・格助詞

高嶺
名詞


助詞・格助詞


名詞


助詞・係助詞

振り
動詞「降る」ラ四(連用)
(ら//る/る/れ/れ)

つつ
助詞・接続助詞

(活用語)
田子の浦に うち出で見れば 白妙の 富士の高嶺に 雪は振りつつ

[動詞]
・打ち出づ
・見る
・降る


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2. 春すぎて 夏来にけらし 白妙の 衣ほすてふ 天の香具山 / 持統天皇

2. 春すぎて 夏来にけらし 白妙の 衣ほすてふ 天の香具山 / 持統天皇

(読み)
はるすぎて なつきにけらし しろたえの ころもほすちょう あまのかぐやま(じとうてんのう)

(訳)
春が過ぎていつのまにか夏が来たらしい。天の香具山に真っ白な衣が干してあるのだから。

(語句)
・「てふ(ちょう)」・・「といふ」が詰まったもの

・夏来にけらし・・夏が来たらしい

※助動詞「らし」は「客観的な事実」に基づいた推定。
「①客観的な事実」があって+「②だから~らしい」と推定する。この歌は倒置法で「②~らしい」+「①だって~(事実)だから」となっている。

「②夏来にけらし ①白妙の衣干すちょう」
→(訳)「②夏が来たらしい。だって白い衣が干している(事実)から

(枕詞)
・「白妙の」→「衣」にかかる。「白妙の」は他に雪、雲、袖、ひもなどにかかる。

(解説)
・さわやかな夏の情景と伝説の山の神秘性を感じる歌。

・『万葉集』では「春過ぎて夏来たるらし白妙の 衣干したり天の香久山」

『万葉集』の方では「干したり」と目の前のことを歌っているのに対して、『新古今和歌集』の方では「干すてふ(干すといふ)」=「干すと伝えられている」と、天の香具山の伝承を取り込むような形になっている。

・天上から降りてきたという神話的な伝説から「天の(あまの)」を冠する。

天の香具山は、神の住む山とされている。現在の奈良県橿原市。

「大和三山」は「香具山(かぐやま)」、「畝傍山(うねびやま)」、「耳成山(みみなしやま)」の三つ。信仰の対象とされていた。

藤原宮から見て、左手に「天の香具山」が見えたと思われる。後ろに「耳成山」、右手に「畝傍山」。


(作者)
41代 持統天皇(645~702)

・38代 天智天皇(1)の第二皇女(おうじょ・ひめみこ・こうじょ)。40代 天武天皇の皇后。

・都を飛鳥から藤原の地へ移し、日本最古の都・藤原京を開いた。


(品詞)

名詞

すぎ
動詞「すぐ(過ぐ)」ガ上二(連用)
(ぎ//ぐ/ぐる/ぐれ/ぎよ)


助詞・接続助詞


名詞

(き)カ変(連用)
(こ//く/くる/くれ/こ(こよ))


助動詞「ぬ」(連用)
連用形接続・ナ変型
(な//ぬ/ぬる/ぬれ/ね)

(る)
助動詞「けり」過去(連体)
連用形接続・ラ変型
(けら/〇/けり/ける/けれ/〇)

らし
助動詞「らし」推定(終止)
終止形接続・特殊型
(〇/〇/らし/らし/らし/〇)

白妙
名詞
(枕詞:「白妙の」→「衣」)


助詞・格助詞


名詞

ほす
動詞「ほす(干す)」ハ四(終止)
(さ/し//す/せ/せ)

てふ
連語

天の香具山
固有名詞

(活用語)
すぎて 夏来に け らし 白妙の 衣ほすてふ 天の香具山

[動詞]
・すぐ
・来(く)
・ほす

[助動詞]
・に・・「ぬ」完了
・け(る)・・「けり」過去
・らし・・「らし」推定

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