山 – ページ 2 – 百人一首note

7. 天の原 ふりさけ見れば 春日なる 三笠の山に いでし月かも / 阿倍仲麿

7. 天の原 ふりさけ見れば 春日なる 三笠の山に いでし月かも / 阿倍仲麿

(読み)
あまのはら ふりさけみれば かすがなる みかさのやまに いでしつきかも / あべのなかまろ

(訳)
広々とした大空をふり仰いではるかに眺めると、ふるさとの春日にある三笠山にかつてのぼっていた月と同じなのだなあ。

(語句)
・「かも」・・詠嘆「〜だなあ」

・「なる」・・「〜にある」。存在の助動詞「なり」

(出典)
01『古今和歌集』


(作者)
阿倍仲麿(あべのなかまろ)(701~770)

・717年、留学生として唐に渡り、科挙に合格。官吏(かんり)として玄宗皇帝に仕えた。

・中国名は朝衡(ちょうこう)。詩人の李白(りはく)や王維(おうい)とも交流があった。

・753年、35年ぶりの日本へ帰国することになったが、藤原清河らと渡った船が難破。安南(ベトナム)に流れ着き、唐へまた戻ることになった。そしてついに日本には帰れなかった。

・阿倍比羅夫(蝦夷討伐や白村江の戦いで活躍)の孫。


(品詞)
天の原
名詞

ふりさけ見れ
動詞「見る」マ上一(已然)
(み/み/みる/みる/みれ/みよ)


助詞・接続助詞

春日
固有名詞

なる
助動詞「なり」存在(連体)
連体形接続・形容動詞型
(なら/なり or に/なり/なる/なれ/なれ)

三笠の山
固有名詞


助詞・格助詞

いで
動詞「いづ」ダ下二(連用)
(で//づ/づる/づれ/でよ)


助動詞「き」直接過去(連体)
(〇/〇/き//しか/〇)


名詞

かも
助詞・終助詞

 

(活用語)
天の原 ふりさけ見れば 春日なる 三笠の山に いで し 月かも

[動詞]
・ふりさけ見る
・いづ

[助動詞]
・なる・・「なり」存在
・し・・「き」直接過去

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4. 田子の浦に うち出でて見れば 白妙の 富士の高嶺に 雪は振りつつ / 山辺赤人

4. 田子の浦に うち出でて見れば 白妙の 富士の高嶺に 雪は振りつつ / 山辺赤人

(読み)たごのうらに うちいでてみれば しろたえの ふじのたかねに ゆきはふりつつ / やまべのあかひと

(訳)田子の浦の海辺に出て、真っ白い富士山をあおぎ見ると、その高い峰に雪が降り続いている

(語句)
・「白妙の」は「富士」にかかる枕詞。「真っ白い」という意味。

・「降りつつ」は反復、継続。「(雪があとからあとからしきりに)降り続いている」の意味。実際には見えるわけではないので、枕詞の「白妙の」と合わせて幻想的な雰囲気が加味される。

(解説)
・万葉集では「田子の浦ゆ 打ち出でてみれば 真白にそ 富士の高嶺に 雪は降りける」。

平安時代はやわらかな語調が好まれたので詠み替えられた。万葉集の方は「実感的」で、百人一首の方は「観念的」で「幻想的」といえる。

・「田子の浦」は駿河国(静岡県)の海岸。(現在の静岡市清水区辺りか。現在の「田子の浦」は静岡県富士市辺り。場所は変わったが富士山の絶景スポット。)

(出典)
08『新古今和歌集』


(作者)
山辺赤人(やまべのあかひと)(8C半)
(万葉集では「山部」、百人一首では「山辺」)

・宮廷歌人。奈良時代、43元明天皇、44元正天皇、45聖武天皇の頃に活躍。

・自然を見て景色を詠むことが得意な叙景歌人。

三十六歌仙の一人。

・柿本人麻呂(3「あしびきの」)とともに「歌聖(かせい)」と呼ばれていた。

・大伴家持(6「かささぎの」)には「山柿(さんし)」と呼ばれ、尊敬されていた。


(品詞)
田子の浦
固有名詞


助詞・格助詞

うち出で
動詞「打ち出づ」ダ下二(連用)
(で//づ/づる/づれ/でよ)


助詞・接続助詞

見れ
動詞「見る」マ上一(已然)
(み/み/みる/みる/みれ/みよ)


助詞・接続助詞

白妙
名詞


助詞・格助詞

富士
名詞


助詞・格助詞

高嶺
名詞


助詞・格助詞


名詞


助詞・係助詞

振り
動詞「降る」ラ四(連用)
(ら//る/る/れ/れ)

つつ
助詞・接続助詞

(活用語)
田子の浦に うち出で見れば 白妙の 富士の高嶺に 雪は振りつつ

[動詞]
・打ち出づ
・見る
・降る


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2. 春すぎて 夏来にけらし 白妙の 衣ほすてふ 天の香具山 / 持統天皇

2. 春すぎて 夏来にけらし 白妙の 衣ほすてふ 天の香具山 / 持統天皇

(読み)
はるすぎて なつきにけらし しろたえの ころもほすちょう あまのかぐやま(じとうてんのう)

(訳)
春が過ぎていつのまにか夏が来たらしい。天の香具山に真っ白な衣が干してあるのだから。

(語句)
・「てふ(ちょう)」・・「といふ」が詰まったもの

・夏来にけらし・・夏が来たらしい

※助動詞「らし」は「客観的な事実」に基づいた推定。
「①客観的な事実」があって+「②だから~らしい」と推定する。この歌は倒置法で「②~らしい」+「①だって~(事実)だから」となっている。

「②夏来にけらし ①白妙の衣干すちょう」
→(訳)「②夏が来たらしい。だって白い衣が干している(事実)から

(枕詞)
・「白妙の」→「衣」にかかる。「白妙の」は他に雪、雲、袖、ひもなどにかかる。

(解説)
・さわやかな夏の情景と伝説の山の神秘性を感じる歌。

・『万葉集』では「春過ぎて夏来たるらし白妙の 衣干したり天の香久山」

『万葉集』の方では「干したり」と目の前のことを歌っているのに対して、『新古今和歌集』の方では「干すてふ(干すといふ)」=「干すと伝えられている」と、天の香具山の伝承を取り込むような形になっている。

・天上から降りてきたという神話的な伝説から「天の(あまの)」を冠する。

天の香具山は、神の住む山とされている。現在の奈良県橿原市。

「大和三山」は「香具山(かぐやま)」、「畝傍山(うねびやま)」、「耳成山(みみなしやま)」の三つ。信仰の対象とされていた。

藤原宮から見て、左手に「天の香具山」が見えたと思われる。後ろに「耳成山」、右手に「畝傍山」。


(作者)
41代 持統天皇(645~702)

・38代 天智天皇(1)の第二皇女(おうじょ・ひめみこ・こうじょ)。40代 天武天皇の皇后。

・都を飛鳥から藤原の地へ移し、日本最古の都・藤原京を開いた。


(品詞)

名詞

すぎ
動詞「すぐ(過ぐ)」ガ上二(連用)
(ぎ//ぐ/ぐる/ぐれ/ぎよ)


助詞・接続助詞


名詞

(き)カ変(連用)
(こ//く/くる/くれ/こ(こよ))


助動詞「ぬ」(連用)
連用形接続・ナ変型
(な//ぬ/ぬる/ぬれ/ね)

(る)
助動詞「けり」過去(連体)
連用形接続・ラ変型
(けら/〇/けり/ける/けれ/〇)

らし
助動詞「らし」推定(終止)
終止形接続・特殊型
(〇/〇/らし/らし/らし/〇)

白妙
名詞
(枕詞:「白妙の」→「衣」)


助詞・格助詞


名詞

ほす
動詞「ほす(干す)」ハ四(終止)
(さ/し//す/せ/せ)

てふ
連語

天の香具山
固有名詞

(活用語)
すぎて 夏来に け らし 白妙の 衣ほすてふ 天の香具山

[動詞]
・すぐ
・来(く)
・ほす

[助動詞]
・に・・「ぬ」完了
・け(る)・・「けり」過去
・らし・・「らし」推定

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