秋 – ページ 2 – 百人一首note

29. 心あてに 折らばや折らむ 初霜の おきまどはせる 白菊の花 / 凡河内躬恒

29. 心あてに 折らばや折らむ 初霜の おきまどはせる 白菊の花 / 凡河内躬恒

(読み)
こころあてに おらばやおらん はつしもの おきまどわせる しらぎくのはな / おおしこうちのみつね

(訳)
慎重に折るなら折れるでしょうか。一面に降りた初霜で、見分けが付かなくなっている白菊の花が。

(出典)
01『古今和歌集』


(作者)
凡河内躬恒(おおしこうちのみつね)。(9C後~10C初)

三十六歌仙の一人。『古今集』の撰者の一人。

・59代宇多天皇、60代醍醐天皇に仕えた。

・勅撰集に200首の歌が残る歌人。


(品詞)
心あて
名詞


助詞・格助詞

折ら
動詞「折る」ラ四(未然)
/り/る/る/れ/れ)


助詞・接続助詞


助詞・係助詞

折ら
動詞「折る」ラ四(未然)
/り/る/る/れ/れ)


助動詞「む」意志(連体)
未然形接続・四段型
(〇/〇/む//め/〇)

初霜
名詞


助詞・格助詞

おきまどはせ
動詞「おきまどはす」サ四(已然)
(さ/し/す/す//せ)


助動詞「り」存続(連体)
四段・已然形接続(サ変・未然形接続)
ラ変型
(ら/り/り//れ/れ)

白菊
名詞


助詞・格助詞


名詞

(活用語)
心あてに 折らばや折ら む 初霜の おきまどはせ る 白菊の花

[動詞]
・折る

[助動詞]
・む・・「む」意志
・る・・「り」存続

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26. 小倉山 峰のもみじ葉 心あらば いまひとたびの みゆき待たなむ / 貞信公

26. 小倉山 峰のもみじ葉 心あらば いまひとたびの みゆき待たなむ / 貞信公

(読み)
おぐらやま みねのもみじば こころあらば いまひとたびの みゆきまたなん / ていしんこう

(訳)
小倉山の紅葉よ、もし、もののあわれを分かる心があるならば、もう一度天皇の行幸(みゆき)まで散らずに待っていてほしい

(解説)
・小倉山・・京都市右京区嵯峨にあるもみじの名所

・宇多上皇の御幸(みゆき)の際に「息子の醍醐天皇にも見せたい」と言われたのを受けて詠んだ。

・醍醐天皇はこのあと小倉山に行幸された。これ以降、小倉山への天皇の行幸が恒例となり、紅葉の名所となった。

「行幸(みゆき)」は天皇のお出かけ。
「御幸(みゆき)」は上皇、法王のお出かけ。

(出典)
03『拾遺和歌集』


(作者)
貞信公(ていしんこう)。藤原忠平(ふじわらのただひら)(880~949)

・藤原基経の四男。温厚な性格。60代醍醐・61代朱雀天皇に仕える。摂政、太政大臣、関白となる。

・摂政・藤原基経の子、時平、仲平、忠平の3兄弟は、三平(さんひら)と呼ばれ、藤原氏繁栄の基礎を築いた。


(品詞)
小倉山 峰のもみじ葉 心あらば いまひとたびの みゆき待たなむ

小倉山
固有名詞


名詞


助詞・格助詞

もみじ葉
名詞


名詞

あら
動詞「あり」ラ変(未然)
/り/り/る/れ/れ)


助詞・接続助詞

いま
副詞

ひとたび
名詞


助詞・格助詞

みゆき
名詞

待た
動詞「待つ」タ四(未然)
/ち/つ/つ/て/て)

なむ
助詞・終助詞

(活用語)
小倉山 峰のもみじ葉 心あらば いまひとたびの みゆき待たなむ

[動詞]
・あり
・待つ

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23. 月見れば ちぢに物こそ 悲しけれ わが身ひとつの 秋にはあらねど / 大江千里

23. 月見れば ちぢに物こそ 悲しけれ わが身ひとつの 秋にはあらねど / 大江千里(おおえのちさと)

(読み)
つきみれば ちぢにものこそ かなしけれ わがみひとつの あきにはあらねど / おおえのちさと

(訳)
月を見ればあれこれ物悲しくなってしまうなあ。(白楽天のように)私一人だけの秋ではないのだけれど。

(解説)
・唐の詩人・白楽天の「白氏文集(はくしもんじゅう)」の漢詩、「秋の夜は自分一人のためにだけ長い」を元に詠まれた。

・漢詩を和歌にアレンジして詠むのが得意だった。

(参考)
白楽天『白氏文集』の『燕子楼(えんしろう)』という詩。

燕子楼中霜月夜
えんしろう ちゅうそうげつのよる

秋来只為一人長
あききたって ただひとりのためにながし

(亡くなった国司の愛妓が燕子楼で長年一人暮らしていた。月の美しい秋寒の夜に「残されたわたし一人のため、こうも秋の夜は長いのか」と詠んだ。)

(出典)
01 古今和歌集


(作者)
大江千里(おおえのちさと)(9C後~10C初)

・平安初期の漢学者・大江音人(おおえのおとんど)の息子。

・在原業平(17)、在原行平(16)の甥。阿保親王のひ孫。

・菅原道真(24)と並ぶ漢学者であった。文章博士(もんじょうはかせ)。


(品詞)

名詞

見れ
動詞「見る」マ上一(已然)
(み/み/みる/みる/みれ/みよ)


助詞・接続助詞

ちぢに
形容動詞「ちぢなり」ナリ活用(連用)
(なら/なり or /なり/なる/なれ/なれ)

もの
名詞

こそ
助詞・係助詞

悲しけれ
形容詞「悲し」シク活用(已然)
本活用(〇/しく/し/しき/しけれ/〇)
補助活用(助動詞)
(しから/しかり/〇/しかる/〇/しかれ)


代名詞


助詞・格助詞


名詞

ひとつ
名詞


助詞・格助詞


名詞


助動詞「なり」断定(連用)
連体形接続・形容動詞型
(なら/なり or に/なり/なる/なれ/なれ)


助詞・係助詞

あら
動詞「あり」補ラ変(未然)
/り/り/る/れ/れ)


助動詞「ず」打消(已然)
未然形接続・特殊型
(〇/ず/ず/ぬ//〇)
(ざら/ざり/〇/ざる/ざれ/ざれ)


助詞・接続助詞

 

(活用語)
見れちぢに物こそ 悲しけれ わが身ひとつの 秋はあら

[動詞]
・見る
・あり

[形容詞]
・悲し

[形容動詞]
・ちぢなり

[助動詞]
・に・・「なり」断定
・ね・・「ず」打消

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22. 吹くからに 秋の草木の しをるれば むべ山風を あらしといふらむ / 文屋康秀

22. 吹くからに 秋の草木の しをるれば むべ山風を あらしといふらむ / 文屋康秀

(読み)
ふくからに あきのくさきの しおるれば むべやまかぜを あらしというらん / ふんやのやすひで

(訳)
ふきおろすとすぐに秋の草木がしおれてしまうので、なるほどそれで山からの風を荒々しい嵐というのであろうか。

(解説)
・「吹くからに」・・吹くとすぐに
「からに」は複合の接続助詞。「~するとすぐに」

・「むべ」・・なるほど

(出典)
01 古今和歌集


(作者)
文屋康秀(ふんやのやすひで)(9C半)

六歌仙三十六歌仙の1人。下級官吏の官人。

・文屋朝康(ふんやのあさやす)(37「しらつゆに」)は息子。

・歌集『句題和歌』。

・三河(愛知県)に赴任する際に、小野小町(9「花の色は」)を誘ったと言われる。


(品詞)
吹く
動詞「吹く」カ四(連体)
(か/き/く//け/け)

からに
助詞・接続助詞


名詞


助詞・格助詞

草木
名詞


助詞・格助詞

しをるれ
動詞「しをる」ラ下二(已然)
(れ/れ/る/るる/るれ/れよ)


助詞・接続助詞
(原因・理由)確定

むべ
副詞

山風
名詞


助詞・格助詞

あらし
名詞
(掛詞)
– 嵐
– 荒し


助詞・格助詞

いふ
動詞「いふ」ハ四(終止)
(は/ひ//ふ/へ/へ)

らむ
助動詞「らむ」現在推量(終止)
(〇/〇/らむ/らむ/らめ/〇)

 

(活用語)
吹くからに 秋の草木の しをるれば むべ山風を あらしといふらむ

[動詞]
・吹く
・しをる
・いふ

[助動詞]
・らむ・・「らむ」推量

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17. ちはやぶる 神代も聞かず 竜田川 からくれないに 水くくるとは / 在原業平朝臣

17. ちはやぶる 神代も聞かず 竜田川 からくれないに 水くくるとは / 在原業平朝臣

(読み)
ちはやぶる かみよもきかず たつたがわ からくれないに みずくくるとは / ありわらのなりひらあそん

(訳)
神代の昔にも聞いたことがない。竜田川が紅葉を散り流して水を紅葉の絞り染めにしているとは。

(解説)
・昔の恋人の藤原高子(ふじわらのたかいこ)のために屏風を題材に詠んだ歌。

・高子は56代清和天皇の后(二条の后)で、57代陽成天皇の母。

(出典)
01『古今和歌集』


(作者)
在原業平朝臣(ありわらのなりひらあそん)(825~880)。

・51代平城天皇の孫。阿保親王(あぼしんのう)の皇子。在原行平(16「立ち別れ」)の弟。

六歌仙三十六歌仙の1人。

・『伊勢物語』の主人公「昔男」のモデルとされる。情熱的な美男子、色好みとしても有名。

・近衛府(このえふ・官職の一つで皇族や高官の警備)。「在五中将(ざいごのちゅうじょう)」とも呼ばれる。

(参考)
・『応天の門
・『超訳百人一首 うた恋い。


(品詞)
ちはやぶる
(枕詞)

神代
名詞


助詞・係助詞

聞か
動詞「聞く」カ四(未然)
/き/く/く/け/け)


助動詞「ず」打消(終止)
未然形接続・特殊型
(〇/ず//ぬ/ね/〇)

竜田川
固有名詞

からくれなゐ
名詞


助詞・格助詞


名詞

くくる
動詞「くくる」ラ四(終止)
(ら/り//る/れ/れ)


助詞・格助詞


助詞・係助詞

(活用語)
ちはやぶる 神代も聞か ず 竜田川 からくれないに 水くくるとは

[動詞]
・聞く
・くくる

[助動詞]
・ず・・「ず」打消

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5. 奥山に もみじ踏みわけ 鳴く鹿の 声きく時ぞ 秋は悲しき / 猿丸大夫

5. 奥山に もみじ踏みわけ 鳴く鹿の 声きく時ぞ 秋は悲しき / 猿丸大夫

(読み)
おくやまに もみじふみわけ なくしかの こえきくときぞ あきはかなしき / さるまるだゆう

(訳)
奥深い山の中に紅葉を踏み分けやってきて、鹿の鳴き声をきくと秋の悲しさがひとしお身に染みることです。

(語句)
・係り結び「ぞ」⇒「悲しき(連体形)」

(解説)
・オスの鹿はメスを求めて「ピー」と鳴く。この鳴き声は秋の季語。

・秋の山の情景(目)と、鹿の鳴き声(耳)があいまって、人恋しさが募る。

・9世紀末の「是貞親王の家の歌合」で詠まれた。(是貞(これさだ)親王は58代光孝天皇(15)の皇子。59代宇多天皇の同母兄。)

・当時すでに秋は悲哀の季節と思われていた。秋の収穫を喜ぶ農耕生活ではその発想は出てこず、都会的精神と思われる。

・この歌は古今和歌集では詠み人しらずになっている。

(出典)
01『古今和歌集』


(作者)
猿丸大夫(さるまるだゆう・たいふ)(8~9C)

・実在さえも疑われる伝説的歌人。

三十六歌仙の1人。

 


(品詞)
奥山
名詞


助詞・格助詞

もみじ
名詞

踏みわけ
動詞「踏みわく」カ下二(連用)
(け//く/くる/くれ/けよ)

鳴く
動詞「鳴く」カ四(連体)
(か/き/く//け/け)

鹿
名詞


助詞・格助詞


名詞

きく
動詞「聞く」カ四(連体)
(か/き/く/く/け/け)


名詞


助詞・係助詞


名詞


助詞・係助詞

悲しき
形容詞「悲し」シク活用(連体)
本活用(〇/しく/し/しき/しけれ/〇)
補助活用(助動詞)
(しから/しかり/〇/しかる/〇/しかれ)

 

(活用語)
奥山に もみじ踏みわけ 鳴く鹿の 声きく時ぞ 秋は悲しき

[動詞]
・踏みわく
・鳴く
・きく

[形容詞]
・悲し

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1. 秋の田の 仮庵の庵の 苫をあらみ わが衣手は 露にぬれつつ / 天智天皇

1. 秋の田の 仮庵の庵の 苫をあらみ わが衣手は 露にぬれつつ / 天智天皇

(読み)
あきのたの かりほのいおの とまをあらみ わがころもでは つゆにぬれつつ(てんじてんのう)

(訳)
秋の田の仮小屋の屋根の編み方が粗いので、袖が夜露に濡れ続けている。

(語句)
・かりほ・・仮庵(かりいお)、仮に作った粗末な小屋

・〇〇を~み・・〇〇が~なので。理由。
苫をあらみ⇒苫が粗いので

・衣手(ころもで)・・そで

・つつ・・反復、継続の接続助詞。

(解説)
・秋の借り入れは年間で一番大切な行事。農民の辛苦を思いやる天皇の慈悲深さを表すとも言われている。

しかしこの歌は天皇本人ではなく、元は農民の歌とも言われている。万葉集の作者不明歌で「秋田刈る 仮庵を作り 我が居れば 衣手寒く 霜そ置きにける」が元の歌。

晩秋のわびしい静寂さを美と捉えた歌。言外に静寂な余情を持っているとして定家はこの歌を「幽玄体」の例としてあげた。

・平安京を開いた50代桓武天皇は天智天皇系の直系の流れ。そのため天智天皇は平安時代の歴史を語るうえで外せない存在として一番に配置されたと考えられる。


(作者)
38代天智天皇(626-672・享年46)中大兄皇子。

・『万葉集』を代表する歌人の1人。父は34代舒明天皇、母は35代皇極(37斉明)天皇。

・大化の改新をすすめ、中央集権の国家を作った。近江令の制定、戸籍づくり、水時計など。

・近江神宮は天智天皇が祀られているため「競技かるたの殿堂」となっている。

・『万葉集』天智天皇の歌
香具山(かぐやま)は畝傍(うねび)を愛(を)しと 耳梨(みみなし)と 相(あひ)あらそひき 神世(かみよ)より かくにあるらし 古昔(いにしへ)も然(しか)にあれこそ うつせみも 嬬(つま)をあらそふらしき

(訳:香具山は畝傍山を妻にしようとして耳梨山と争った。神代からそうであった。昔からそうだったからいまでも妻を奪い争っている。)

(出典)
02『後撰和歌集』


(品詞)

名詞


助詞・格助詞


名詞


助詞・格助詞

仮庵
名詞


助詞・格助詞


名詞


助詞・格助詞


名詞


助詞・間投助詞

あら
形容詞(語幹)


接尾語


代名詞


助詞・格助詞

衣手
名詞


助詞・係助詞


名詞


助詞・格助詞

ぬれ
動詞「ぬる(濡る)」ラ下二(連用)
(れ//る/るる/るれ/れよ)

つつ
助詞・接続助詞
反復・継続
連用形接続
(活用語)
秋の田の 仮庵の庵の 苫をあらみ わが衣手は 露にぬれつつ

[動詞]
・ぬる(濡る)

[形容詞]
・あらし(粗し)

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