57. めぐりあひて 見しやそれとも わかぬ間に 雲がくれにし 夜半の月かな / 紫式部
(読み)
めぐりあいて みしやそれとも わかぬまに くもがくれにし よわのつきかな(むらさきしきぶ)
(訳)
久しぶりに巡り合い、見たのかどうか分からないうちに、雲間に隠れてしまった夜中の月のように、あなたはたちまち帰ってしまった。
(語句)
・めぐり逢ひて・・めぐり合って。「めぐる」は月の縁語。
・見しや・・「し」は過去、「や」は疑問。
・夜半の月かな・・夜中の月であることよ。「かな」は詠嘆。
(係り結び)
・や→結びは省略
(解説)
幼なじみの友達と久しぶりに会ったのに、相手があわただしく帰ってしまったのを詠んだ歌。
(作者)
紫式部(むらさきしきぶ)。香子(かおりこ)。(970~1014)
『源氏物語』の作者。藤原為時の娘。藤原信孝と結婚。娘は大弐三位(だいにのさんみ)(58「有馬山」)
夫と死別後、一条天皇の中宮、彰子(しょうし)に仕えた。
(品詞)
・めぐりあひ
動詞「めぐりあふ」ハ四(連用)
(は/ひ/ふ/ふ/へ/へ)
・て
助詞・接続助詞
・見
動詞「見る」マ上一(連用)
(み/み/みる/みる/みれ/みよ)
・し
助動詞「き」過去(連体)
連用形接続・特殊型
(せ/〇/き/し/しか/〇)
・や
助詞・係助詞
・それ
代名詞
・と
助詞・格助詞
・も
助詞・係助詞
・わか
動詞「わく(分く)」カ四(未然)
(か/き/く/く/け/け)
・ぬ
助動詞「ず」打消(連体)
未然形接続・特殊型
ー 本活用(〇/ず/ず/ぬ/ね/〇)
ー 補助活用(助動詞)
(ざら/ざり/〇/ざる/ざれ/ざれ)
・間
名詞
・に
助詞・格助詞
・雲がくれ
動詞「雲がくる(くもがくる)」ラ下二(連用)
(れ/れ/る/るる/るれ/れよ)
・に
助動詞「ぬ」完了(連用)
連用形接続・ナ変型
(な/に/ぬ/ぬる/ぬれ/ね)
・し
助動詞「き」過去(連体)
連用形接続・特殊型
(せ/〇/き/し/しか/〇)
・夜半
名詞
・の
助詞・格助詞
・月
名詞
・かな
助詞・終助詞
(活用語)
めぐりあひて 見 し やそれとも わか ぬ まに 雲がくれ に し 夜半の月かな
[動詞]
・めぐりあふ
・見る
・わく
・雲がくる
[助動詞]
・し・・「き」(直接経験の過去)
・ぬ・・「ず」(打消)
・に・・「ぬ」(完了)
・し・・「き」(直接経験の過去)
