百人一首note – ページ 9

73. 高砂の 尾の上の桜 咲きにけり 外山の霞 立たずもあらなむ / 前中納言匡房

73. 高砂の 尾の上の桜 咲きにけり 外山の霞 立たずもあらなむ / 前中納言匡房

(読み)
たかさごの おのえのさくら さきにけり とやまのかすみ たたずもあらなん(さきのちゅうなごんまさふさ)

(訳)
高い山の峯(頂き)に桜が咲いた。里山のかすみよ、どうか立たないでおくれ、あの桜が隠れてしまうから。

(語句)
・高砂・・山

・尾の上・・頂上

(解説)
・内大臣、藤原師通(もろみち)の別荘での宴で詠まれた。

・景色に奥行きを感じるのは、中国の詩や水墨画で見られる表現で、漢学者である大江匡房ならではの作品。


(作者)
前中納言匡房(さきのちゅうなごんまさふさ)。大江匡房(おおえのまさふさ)。(1041-1111)

漢学者。後三条・白河・堀河3代の天皇に仕えた。『江談抄(ごうだんしょう)』(漢文体の説話集)の作者。

大江匡衡(まさひら)と赤染衛門(59)のひ孫。

大江広元(ひろもと)の曾祖父にあたる。
大江広元は鎌倉幕府・源頼朝の側近。公文所(→政所)の別当。(石ノ森日本史 8巻p133)

大江匡衡(まさひら)=赤染衛門





大江匡房(まさふさ)73「たかさごの」





大江広元(ひろもと)源頼朝の側近。公文所(→政所)別当。




毛利元就(もうりもとなり)

 


(品詞)
高砂
名詞


助詞・格助詞

尾の上
名詞


助詞・格助詞


名詞

咲き
動詞「咲く」カ四(連用)
(か//く/く/け/け)


助動詞「ぬ」完了(連用)
連用形接続・ナ変型
(な//ぬ/ぬる/ぬれ/ね)

けり
助動詞「けり」詠嘆(終止)
連用形接続・ラ変型
(けら/〇/けり/ける/けれ/〇)

外山
名詞


助詞・格助詞


名詞

立た
動詞「立つ」タ四(未然)
/ち/つ/つ/て/て)


助動詞「ず」打消(連用)
未然形接続・特殊型
(〇//ず/ぬ/ね/〇)
(ざら/ざり/〇/ざる/ざれ/ざれ)


助詞・係助詞

あら
動詞「あり」ラ変(未然)
/り/り/る/れ/れ)

なむ
助詞・終助詞

 

(活用語)
高砂の 尾の上の桜 咲き に けり 外山の霞 立た あらなむ

[動詞]
・咲く
・立つ
・あり

[助動詞]
・・「ぬ」完了
けり・・「けり」詠嘆
・・「ず」打消

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74. 憂かりける 人を初瀬の 山おろしよ はげしかれとは 祈らぬものを / 源俊頼朝臣

(奈良・長谷寺)

74. 憂かりける 人を初瀬の 山おろしよ はげしかれとは 祈らぬものを / 源俊頼朝臣

(読み)
うかりける ひとをはつせの やまおろしよ はげしかれとは いのらぬものを(みなもとのとしよりあそん)

(訳)
つれなかったあの人が振り向いてくれるようにと観音様にお祈りしたのに、初瀬の山おろしよ、激しく辛くあたれとは祈らなかったのに。

(解説)
・奈良・初瀬の長谷寺は恋の願いが叶うと有名。十一面観音がある。

平安時代は観音信仰が盛ん。山城・清水寺、近江・石山寺、大和・長谷寺などが霊験(れいげん)あらたかな寺として有名だった。


(作者)
源俊頼朝臣(みなもとのとしよりあそん)。

父は源経信(つねのぶ)(71「夕されば」)。息子は俊恵法師(85「夜もすがら」)。

「新風(しんぷう)」と呼ばれた革新的な歌風は後世にも影響を与え、藤原俊成(83「よのなかよ」)にも受け継がれた。

歌学書『俊頼髄脳』を著す。白河上皇の命で『金葉和歌集』の撰者となる。音楽の才能もあった。

曾禰好忠(そねのよしただ)の46「ゆらのとを」を本歌取りして、好忠へのリスペクトを表明した。


(品詞)
憂かり
形容詞「憂し」ク活用(連用)
– 本活用(〇/く/し/き/けれ/〇)
– 補助活用(助動詞)
(から/かり/〇/かる/〇/かれ)

ける
助動詞「けり」(連体)
連用形接続・ラ変型
(けら/〇/けり/ける/けれ/〇)


名詞


助詞・格助詞

初瀬
固有名詞


助詞・格助詞

山おろし
名詞


助詞・間投助詞

はげしかれ
形容詞「はげし」シク活用(命令)
– 本活用(〇/しく/し/しき/しけれ/〇)
– 補助活用(助動詞)
(しから/しかり/〇/しかる/〇/しかれ


助詞・格助詞


助詞・係助詞

祈ら
動詞「祈る」ラ四(未然)
/り/る/る/れ/れ)


助動詞「ず」打消(連体)
未然形接続・特殊型
(〇/ず/ず//ね/〇)
(ざら/ざり/〇/ざる/ざれ/ざれ)

ものを
助詞・接続助詞

 

(活用語)
憂かりける 人を初瀬の 山おろしよ はげしかれとは 祈らものを

[動詞]
・祈る

[形容詞]
・憂し
・はげし

[助動詞]
ける・・「けり」過去
・・「ず」打消

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75. ちぎりおきし させもが露を 命にて あはれ今年の 秋もいぬめり / 藤原基俊

75. ちぎりおきし させもが露を 命にて あはれ今年の 秋もいぬめり / 藤原基俊

(読み)
ちぎりおきし させもがつゆを いのちにて あわれことしの あきもいぬめり(ふじわらのもととし)

(訳)
あなたが約束してくださった恵みの露のようなはかない言葉を命のように大切にしていたのに、ああ今年の秋もむなしく過ぎていくようです。

(語句)
・させも・・さしも草(よもぎ)

(解説)
・興福寺で行われる「維摩講(ゆいまこう)の講師(こうじ)に自分の息子が選ばれるよう、藤原忠通(76)に頼んだが果たされなかった。
(維摩講:仏教の法会の一つ。『維摩経』を講読する行事)

・恋の歌のようにも詠めるのがおもしろいところ。


(作者)藤原基俊(ふじわらのもととし)。

藤原俊家の子。藤原道長のひ孫。

源俊頼(74)と並ぶ院政期の歌壇の中心人物。伝統を重んじ保守的な歌風。


(品詞)
ちぎりおき
動詞「ちぎりおく」カ四(連用)
(か//く/く/け/け)


助動詞「き」直接経験の過去(連体)
連用形接続・特殊型
(せ/〇/き//しか/〇)

させも
名詞


助詞・格助詞


名詞


助詞・格助詞


名詞


助動詞「なり」断定(連用)
(なら/なり or /なり/なる/なれ/なれ)
連体形接続・形容動詞型


助詞・接続助詞

あはれ
感動詞

今年
名詞


助詞・格助詞


名詞


助詞・係助詞

いぬ
動詞「いぬ」ナ変型(終止)
(な/に//ぬる/ぬれ/ね)

めり
助動詞「めり」推量(終止)
(〇/めり/めり/める/めれ/〇)
終止形接続・ラ変型

 

(活用語)
ちぎりおき させもが露を 命て あはれ今年の 秋もいぬ めり

[動詞]
・ちぎりおく
・いぬ

[助動詞]
・・「き」直接過去
・・「なり」断定
めり・・「めり」推量

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76. わたの原 こぎ出でて見れば ひさかたの 雲居にまがふ 沖つ白波 / 法性寺入道前関白太政大臣

76. わたの原 こぎ出でて見れば ひさかたの 雲居にまがふ 沖つ白波 / 法性寺入道前関白太政大臣

(読み)
わたのはら こぎいでてみれば ひさかたの くもいにまがう おきつしらなみ(ほっしょうじにゅうどう さきのかんぱく だいじょうだいじん)

(訳)
大海原に舟を漕ぎだして辺りを見わたすと、雲と見間違うような沖の白波が立っていることです。

(枕詞)
「ひさかたの」⇒「雲」。「ひさかたの」は「天」をはじめ「光」「空」「月」「雲」「雨」などの言葉にかかる。

(解説)
・崇徳天皇の歌合わせ。「海上遠望(海の上で遠くを眺める)」というお題。漢詩のようなお題なので、漢詩が得意な忠通にはよかったのだろう。


(作者)
法性寺入道前関白太政大臣(ほっしょうじにゅうどう さきのかんぱく だいじょうだいじん)藤原忠通(ふじわらのただみち)。

父は藤原忠実。子は慈円(95)、孫は良経(91)。鳥羽天皇から4代に渡り関白を務めた。

1156年・保元の乱で後白河上皇側に付いて、勝利した。弟の藤原頼長と戦った。

93「契りおきし」藤原基俊から、根回しを頼まれた方の人。

 


(品詞)
わたの原
名詞

こぎ出で
動詞「こぎ出づ」ダ下二(連用)
(で//づ/づる/づれ/でよ)


助詞・接続助詞

見れ
動詞「見る」マ上一(已然)
(み/み/みる/みる/みれ/みよ)


助詞・接続助詞

ひさかたの
枕詞

雲居
名詞


助詞・格助詞

まがふ
動詞「まがふ」ハ四(連体)
(は/ひ/ふ//へ/へ)


名詞


助詞・格助詞

白波
名詞

 

(活用語)
わたの原 こぎ出で見れば ひさかたの 雲居にまがふ 沖つ白波

[動詞]
・こぎ出づ
・見る
・まがふ

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77. 瀬をはやみ 岩にせかるる 滝川の われても末に あはむとぞ思ふ / 崇徳院

77. 瀬をはやみ 岩にせかるる 滝川の われても末に あはむとぞ思ふ / 崇徳院

(読み)
せをはやみ いわにせかるる たきがわの われてもすえに あわんとぞおもう(すとくいん)

(訳)
川瀬の急流が岩にせきとめられて分かれても、また下流で合わさるように、今2人が別れても将来再び逢おうと思う。


(作者)
崇徳院(すとくいん)。第75代天皇。崇徳上皇。

和歌が好きでよく歌の会を開いた。父の鳥羽院からは自分の子でないため愛されなかったと言われる。

1156年・保元(ほうげん)の乱で、弟の後白河天皇に敗北し、讃岐国(さぬきのくに)に流された。

   勝〇    負✕
〇後白河天皇(弟)   VS ✕崇徳上皇(兄)
〇藤原忠通(兄)(76 ✕藤原頼長(弟)
〇平清盛(おい) ✕平忠正(叔父)
〇源義朝(兄) ✕源為義(父)・源為朝(弟)

↓↓


(品詞)

名詞


助詞・間投助詞

はや
形容詞「はやし」ク活用(語幹)


接尾語


名詞


助詞・格助詞

せか
動詞「せく」カ四(未然)
/き/く/く/け/け)

るる
助動詞「る」受身(連体)
未然形接続・下二段型
(れ/れ/る/るる/るれ/れよ)

滝川
名詞


助詞・格助詞

われ
動詞「わる」下二(連用)
(れ//る/るる/るれ/れよ)


助詞・接続助詞


助詞・係助詞


名詞


助詞・格助詞

あは
動詞「あふ」ハ四(未然)
/ひ/ふ/ふ/へ/へ)


助動詞「む」意志(終止)
未然形接続・四段型
(〇/〇//む/め/〇)


助詞・格助詞


助詞・係助詞

思ふ
動詞「思ふ」ハ四(連体)
(は/ひ/ふ//へ/へ)

 

(活用語)
瀬をはやみ 岩にせかるる 滝川の われても末に あはとぞ思ふ

[動詞]
・せく
・わる
・あふ
・思ふ

[形容詞]
・はやし

[助動詞]
るる・・「る」受身
・・「む」意志

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78. 淡路島 かよふ千鳥の 鳴く声に 幾夜ねざめぬ 須磨の関守 / 源兼昌

78. 淡路島 かよふ千鳥の 鳴く声に 幾夜ねざめぬ 須磨の関守 / 源兼昌

(読み)
あわじしま かようちどりの なくこえに いくよねざめぬ すまのせきもり(みなもとのかねまさ)

(訳)
淡路島から渡ってくる千鳥の、もの悲しく鳴く声で幾晩目を覚ましたことだろうか。須磨の関守は。

(解説)
・『源氏物語』の光源氏の「須磨の巻」に思いをはせてこの歌を詠んだという。

・千鳥は冬の浜辺の景物として読まれる。妻や友を思って慕って鳴く鳥とされる。


(作者)源兼昌(みなもとのかねまさ)。

堀川院歌壇の一員。宇多源氏の系統で源俊輔の子。


(品詞)
淡路島
固有名詞

かよふ
動詞「かよふ」ハ四(連体)
(は/ひ/ふ//へ/へ)

千鳥
名詞


助詞・格助詞

鳴く
動詞「鳴く」カ四(連体)
(か/き/く//け/け)


名詞


助詞・格助詞

いく夜
名詞

ねざめ
動詞「ねざむ」マ下二(連用)
(め//む/むる/むれ/めよ)


助動詞「ぬ」完了(終止)
(な/に//ぬる/ぬれ/ね)

須磨
固有名詞


助詞・格助詞

関守
名詞

 

(活用語)
淡路島 かよふ千鳥の 鳴く声に 幾夜ねざめ 須磨の関守

[動詞]
・かよふ
・鳴く
・ねざむ

[助動詞]
・・「ぬ」完了

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79. 秋風に たなびく雲の 絶え間より もれ出づる月の 影のさやけさ / 左京大夫顕輔

79. 秋風に たなびく雲の 絶え間より もれ出づる月の 影のさやけさ / 左京大夫顕輔

(読み)
あきかぜに たなびくくもの たえまより もれいずるつきの かげのさやけさ(さきょうのだいぶあきすけ)

(訳)
秋風が吹いて横にたなびいている雲の切れ間から漏れ出てくる月の光は明るく澄みきっている。

(語句)
・月の影・・月の光

・さやけさ・・さやけし(澄み切っている)の名詞化。

(解説)
・秋風と月を取り合わせて清々しい光景を詠んだ。


(作者)
左京大夫顕輔。(さきょうのだいぶあきすけ)。藤原顕輔。

藤原清輔朝臣(84「ながらえば」)は息子。父・顕季(あきすえ)から歌道の家(六条藤家)を継ぐ。

崇徳院(77「せをはやみ」)から『詞花和歌集(しかわかしゅう)』の撰者に命じられた。


(品詞)
秋風
名詞


助詞・格助詞

たなびく
動詞「たなびく」カ四(連体)
(か/き/く//け/け)


名詞


助詞・格助詞

絶え間
名詞

より
助詞・格助詞

もれ出づる
動詞「もれ出づ」ダ下二(連体)
(で/で/づ/づる/づれ/でよ)


名詞


助詞・格助詞


名詞


助詞・格助詞

さやけさ
名詞

 

(活用語)
秋風に たなびく雲の 絶え間より もれ出ずる月の 影のさやけさ

[動詞]
・たなびく
・もれ出づ

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80. ながからむ 心も知らず 黒髪の みだれて今朝は ものをこそ思へ / 待賢門院堀河

80. ながからむ 心も知らず 黒髪の みだれて今朝は ものをこそ思へ / 待賢門院堀河

(読み)
ながからん こころもしらず くろかみの みだれてけさは ものをこそおもえ(たいけんもんいんのほりかわ)

(訳)
末長く愛し続けようというあなたの気持ちが本当か分からず、お別れした今朝は、黒髪が乱れるように心が乱れてもの思いに沈んでいます。

(解説)
・「後朝(きぬぎぬ)の歌」に対する返歌。

・ながからむ・・末永く愛し続けようという。


(作者)
待賢門院堀河(たいけんもんいんのほりかわ)。

院政期歌壇の代表女性歌人。鳥羽天皇の皇后、崇徳院(77)と後白河上皇の母である待賢門院璋子(しょうし)に仕え、堀河(ほりかわ)と呼ばれた。


(品詞)
ながから
形容詞「ながし」ク活用(未然)
– 本活用(〇/く/し/き/けれ/〇)
– 補助活用(助動詞)
から/かり/〇/かる/〇/かれ)


助動詞「む」婉曲(連体)
未然形接続・四段型
(〇/〇/む//め/〇)


名詞


助詞・格助詞

知ら
動詞「知る」ラ四(未然)
/り/る/る/れ/れ)


助動詞「ず」打消(連用)
(〇//ず/ぬ/ね/〇)
(ざら/ざり/〇/ざる/ざれ/ざれ)

黒髪
名詞


助詞・格助詞

みだれ
動詞「みだる」ラ下二(連用)
(れ//る/るる/るれ/れよ)


助詞・接続助詞

今朝
名詞


助詞・係助詞

もの
名詞


助詞・格助詞

こそ
助詞・係助詞

思へ
動詞「思ふ」ハ四(已然)
(は/ひ/ふ/ふ//へ)

 

(活用語)
ながから 心も知ら 黒髪の みだれて今朝は ものをこそ思へ

[動詞]
・知る
・みだる
・思ふ

[形容詞]
・ながし

[助動詞]
・・「む」婉曲
・・「ず」打消

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81. ほととぎす 鳴きつる方を ながむれば ただありあけの 月ぞ残れる / 後徳大寺左大臣

81. ほととぎす 鳴きつる方を ながむれば ただありあけの 月ぞ残れる / 後徳大寺左大臣

(読み)
ほととぎす なきつるかたを ながむれば ただありあけの つきぞのこれる(ごとくだいじのさだいじん)

(訳)
ホトトギスの鳴いた方を見渡したところ、ただ有明の月が残っているばかりである。

(解説)
・ほととぎすは夏を彩る代表。貴族たちは夏を告げるほととぎすの第一声「初声(はつね)」を待ち望んで夜を明かした。

・万葉集ではホトトギスは橘の花と一緒に詠まれることが多かったが、平安時代は鳴き声を詠まれるようになった。


(作者)
後徳大寺左大臣(ごとくだいじのさだいじん)。藤原(徳大寺)実定(さねさだ)。

右大臣・公能(きんよし)の息子。藤原定家(97)のいとこ。

和歌や音楽の才能があり、俊恵(85)の歌林苑歌人たちとも交流があった。『平家物語』にも登場する。


(品詞)
ほととぎす
名詞

鳴き
動詞「鳴く」カ四(連用)
(か//く/く/け/け)

つる
助動詞「つ」完了(連体)
連用形接続・下二段型
(て/て/つ/つる/つれ/てよ)


名詞


助詞・格助詞

ながむれ
動詞「ながむ」マ下二(已然)
(め/め/む/むる/むれ/めよ)


助詞・接続助詞
(順接・確定条件)

ただ
副詞

ありあけ
名詞


助詞・格助詞


名詞


助詞・係助詞

残れ
動詞「残る」ラ四(已然)
(ら/り/る/る//れ)


助動詞「り」存続(連体)
サ変・・未然形接続
〇四段・・已然形接続
(ら/り/り//れ/れ)

 

(活用語)
ほととぎす 鳴きつる方を ながむれば ただありあけの 月ぞ残れ

[動詞]
・鳴く
・ながむ
・残る

[助動詞]
つる・・「つ」完了
・・「り」存続

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82. 思ひわび さても命は あるものを 憂きにたへぬは 涙なりけり / 道因法師

82. 思ひわび さても命は あるものを 憂きにたへぬは 涙なりけり / 道因法師

(読み)
おもいわび さてもいのちは あるものを うきにたえぬは なみだなりけり(どういんほうし)

(訳)
思い悩んでいてそれでも命はあるのに、辛さにこらえきれないのは涙なのだなあ。

(解説)
・命と涙。自分ではコントロールできない二つを比べて表現している。

65「うらみわび」の歌と、「〜わび」・「あるものを」の部分が共通している。


(作者)
道因法師(どういんほうし)。藤原敦頼(あつより)。崇徳院(77「せをはやみ」)に仕えた。

80歳で出家。80代になってからも秀歌ができるよう住吉神社にお参りしたり、90代で歌会にも参加するなど歌道に熱心だった。

死後、『千載集』に多くの和歌が掲載されたのを喜び、撰者俊成(83)の夢に現れたとの逸話が残る。


(品詞)
思ひわび
動詞「思ひわぶ」バ上二(連用)
(び//ぶ/ぶる/ぶれ/びよ)

さても
副詞


名詞


助詞・係助詞

ある
動詞「あり」ラ変(連体)
(ら/り/り//れ/れ)

ものを
助詞・接続助詞

憂き
形容詞「憂し」ク活用(連体)
本活用(〇/く/し//けれ/〇)
補助活用(助動詞)
(から/かり/〇/かる/〇/かれ)


助詞・格助詞

たへ
動詞「たふ(耐ふ)」ハ下二(未然)
/へ/ふ/ふる/ふれ/へよ)


助動詞「ず」打消(連体)
(〇/ず/ず//ね/〇)
(ざら/ざり/〇/ざる/ざれ/ざれ)


助詞・係助詞


名詞

なり
助動詞「なり」断定(連用)
連体形接続・形容動詞型
(なら/なり or に/なり/なる/なれ/なれ)

けり
助動詞「けり」詠嘆(終止)
連用形接続・ラ変型
(けら/〇/けり/ける/けれ/〇)

 

(活用語)
思ひわび さても命は あるものを 憂きたへは 涙なり けり

[動詞]
・思ひわぶ
・あり
・たふ

[形容詞]
・憂し

[助動詞]
・・「ず」打消
なり・・「なり」断定
けり・・「けり」詠嘆

 

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